研究課題/領域番号 |
19H00637
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日比 孝之 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 名誉教授 (80181113)
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研究分担者 |
蔵野 和彦 明治大学, 理工学部, 専任教授 (90205188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シチジー理論 / シンボリック冪 / Cox 環 / シンボリック Rees 環 / Hibi 環 |
研究実績の概要 |
コロナ禍の影響が深刻な状況が続いたが、オンライン、あるいは、稀ではあるが、対面の研究活動を実施し、下記のような研究活動を展開した。 (シンボリック冪)2021 年度と 2022 年度に雇用したポスドクの人件費の一部を、本基盤研究(A)から支出した。2022 年 11 月 14 日から 18 日に大阪大学で開催された第43回可換環論シンポジウムにおいて、シンボリック冪に関連した講演を行う研究者の旅費と宿泊費を負担した。研究分担者は、射影曲面を一点ブローアップしたときに proper transform の自己交点数が負になるトーリック曲面内の曲線の方程式に関する研究を展開した。このような研究は今までに類がなく、斬新なものである。研究成果を集約した論文は、国際雑誌 Journal of Algebra に掲載された。なお、この研究結果は、稲川太郎との共同研究においてきわめて有益であった。 (シチジー理論)コロナ禍ではあったが、研究代表者は、2021 年 10 月から 11 月の2ヶ月、ドイツのエッセン大学に滞在し、Juergen Herzog のグループの研究者らとテータ型代数に関する国際共同研究を実施した。その国際共同研究では、まず、0次元の次数付単項式代数の標準加群の跡のテータ数を定義し、テータ数が1の環をテータ型代数と呼んだ。次に、テータ型代数をさまざま観点から分類する問題に挑戦し、とりわけ、単体的複体に付随する0次元の次数付単項式代数でテータ型であるものの分類理論の礎を構築した。その他、研究代表者は、林と呼ばれる有限単純グラフの squarefree 冪の正則度の探究をイスタンブールの Nursel Erey と実施し、特に、任意の squarefree 冪が linear resolution を持つ林を分類することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンボリック冪の研究も、シチジー理論の研究も、研究成果は十分なものである。国際共同研究も遂行され、当初の研究計画に沿った研究が展開されている。
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今後の研究の推進方策 |
下記の実施計画に沿い、symbolic 冪と syzygy 理論の研究を発展させる。 (symbolic 冪)可換環論に関するシンポジウム、スクール、セミナーを本基盤研究(A)がサポートする。特に、大学院生、ポスドクなどの旅費を援助する。コロナ禍ではあるが、状況が許せば、海外の著名な研究者を可換環論シンポジウムに招聘し、symbolic 冪とその周辺の話題に関する連続講演をしてもらう。海外招聘研究者は、可換環論シンポジウムの後も、明治大学に滞在してもらい、研究分担者は、symbolic 冪のホモロジー代数的な性質に関する共同研究、symbolic Rees 環と Cox 環の有限生成性に関する共同研究、代数サイクルとコーエンマコーレー錐に関する共同研究などを遂行する。 (syzygy 理論)研究代表者は、2023 年 8 月 13 日から 8 月 25 日、ドイツの Oberwolfach 数学研究所に滞在し、Sara Madani と有限単純グラフの二項辺イデアルを巡る共同研究を実施する。更に、2023 年 11 月 27 日から 12 月 1 日、American Institute of Mathematics に滞在し、SQuaRE プロジェクトの枠組みで、有限単純グラフの辺イデアルの冪の正則度の探究を Sara Faridi, Susan Morey, Tai H Ha, Nursel Erey, Selvi Kara と実施する。
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