研究課題/領域番号 |
19H00640
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河東 泰之 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90214684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 作用素環 / 部分因子環 / トポロジカル相 / 共形場理論 / 頂点作用素代数 / テンソル圏 / 数理物理学 / テンソルネットワーク |
研究実績の概要 |
作用素環論において Jones の創始した部分因子環論において,basic construction の繰り返しを通じて深さ有限の部分因子環の組を生み出す有限次元の非退化な commuting square は bi-unitary connection と呼ばれる行列の組に対応していることが以前から知られている.この行列は適当な正の定数を掛けることにより, Bultinck-Marien-Williamson-Sahinoglu-Haegeman-Verstraete らの2次元トポロジカル秩序に関する最近の物理学の論文における 4-tensor を与えることがわかる. この対応によって,anyon のふるまいを記述するために彼らが導入した anyon algebra は作用素環論において以前から知られている Ocneanu の tube algebra と同じものであることを数学的に証明した.さらに彼らは projector matrix product operator と呼ばれる有限次元射影作用素を考え,その値域を物理的に研究していたが,我々は長さ k のこの射影作用素の値域が, bi-unitary connection の生み出す部分因子環の k 次の higher relative commutant に一致することを示した.またこの bi-unitary connection からは二つの部分因子環が生じるが,この文脈でのその両方が自然に現れることを示し,その持つ意味を解明した.この higher relative commutant は作用素環論,特に Jones の理論においてこれまで盛んに研究されてきた重要な対象である.これは2次元トポロジカル秩序と部分因子環の関係をこれまで以上に深めるものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染により,すべての海外出張がストップしており,日本国内で開催を予定していた国際コンファレンスも延期になっているため.
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今後の研究の推進方策 |
物質のトポロジカル相の作用素環論的研究と,カイラル共形場理論との結びつきをさらに追究していく.特にギャップを持つハミルトニアンの作用素環的分類の果たす役割の研究と結び付けていきたい.またコロナウイルス感染が収束すれば,国際コンファレンスを開催して研究交流を進めていく.
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