研究課題/領域番号 |
19H00643
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日野 正訓 京都大学, 理学研究科, 教授 (40303888)
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研究分担者 |
楠岡 誠一郎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20646814)
竹田 雅好 関西大学, システム理工学部, 教授 (30179650)
上村 稔大 関西大学, システム理工学部, 教授 (30285332)
桑江 一洋 福岡大学, 理学部, 教授 (80243814)
会田 茂樹 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90222455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ディリクレ形式 / 確率解析 / マルコフ過程 / フラクタル |
研究実績の概要 |
当該期間の研究実績の概要は以下の通りである。日野は,滑らかとは限らない境界を持つ領域上の非リプシッツ係数反射壁確率微分方程式の研究を行い,解の存在と一意性について従前より一般的な結果を得た。 楠岡は,指数関数を相互作用に持つ確率場とその流れの構成について研究を行った。近年研究が盛んな特異確率偏微分方程式の手法を用い,確率量子化方程式の解として確率場が作る流れを構成し、以前から知られていたディリクレ形式から得られる流れとこの解が一致することを示した。 竹田は,ディリクレ形式を主要部に持つシュレディンガー形式に対して,その劣臨界性,臨界性,優臨界性の解析的特徴付けを,ポテンシャルを通して決まる時間変更過程の最小固有値によって与え,その応用として最大値原理やリューヴィル性の証明を行った。 上村は,対称安定過程のレヴィ測度に,原点や無限遠点において退化あるいは発散する密度を持った飛躍測度に対応するマルコフ過程の大域的性質を研究した。 会田は,補間過程を用いたラフ微分方程式(RDE)の解の近似誤差分布の漸近挙動を研究した。そのため,離散版の被制御パスを用いた誤差評価,RDEの解で定まる逐次積分のマリアバン微分可能性の新証明,分数冪ブラウン運動のウィーナーカオスの核関数の,短時間での高次元変動ノルムの正確な評価を与えた。 桑江は,リーマン多様体上のベクトル場VによるV-Laplace作用素を考え, Vに対応するm-Bakry-Emeryリッチテンソルをパラメータmが1以下の場合に起点及びmとVが絡んだ下限条件を与えたときに, V-Laplace作用素の比較定理を得た。副産物として, 起点に依存する形の重み付きMyers型定理, Bishop-Gromov型比較定理, Ambrose-Myers型定理, Cheeger-Gromov型分裂定理等を得た。また不変測度に近い測度を定めることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究概要の実績欄に記述したように,研究代表者および研究分担者はそれぞれの観点から本研究課題にアプローチして十分な成果を挙げている。また,2019年度は本研究課題の研究費を使用した国際研究集会が2件(Analysis, Random Fields and Integrable Probability (The 12th Mathematical Society of Japan, Seasonal Institute) およびJapanese-German Open Conference on Stochastic Analysis 2019)開催され,研究代表者・分担者および国内外からの参加者の間で充実したディスカッションや研究連絡を行うことができた。 新型コロナウイルスの影響で研究集会が延期・中止になるなどの予期しない事態も発生したが,研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者と研究分担者は,研究実施計画に沿いながらそれぞれの強みの分野を生かしたテーマについて今後も研究を進める。また,複雑な境界を持つ領域上の解析に関する専門的知識を持つ松浦浩平氏(筑波大学)に,本研究課題の研究分担者に新たに加わっていただき,このテーマに関連した研究体制の強化を図るものとする。 新型コロナウイルス感染拡大により,予定している研究集会の延期・中止・実施形態の変更等が今後予想されるが,必要な機器の購入などの方策によってオンラインでの研究連絡を充実させ,できる限り研究推進に悪影響を及ぼさないように努める。研究計画そのものについては,特段の大きな変更はない。
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