「マグノン化学」という新しいスピントロニクス物理を開拓することが本研究課題の目的である。自由電子を原子核で閉じ込めて水素原子ができるようにスピン波をキャビティ内に閉じ込めれば、マグノンの「水素」ができる。複数の磁化自由度を閉じ込めればマグノンの分子ができる。これをさらに発展させマグノンのベンゼン、マグノンのヘテロ分子を理論的に作り、さらにはマグノンの量子化学を構築する。 マグノンに対して、化学の考え方でアプローチする点が興味深い。従来の物質では取りえない構造を実現できる。マグノン化学という新しい分野を打ち立てる点も意義がある。研究代表者は、スピントロニクスの理論研究で多くの実績があり、実験家との共同研究も行ってきたことから、研究は順調に進展すると見込まれる。
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