| 研究課題/領域番号 |
19H00648
|
|---|
| 研究機関 | 東京大学 |
|---|
研究代表者 |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 教授 (40213524)
|
|---|
| 研究分担者 |
摂待 力生 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00251041)
郷地 順 東京大学, 物性研究所, 助教 (20781280)
渡辺 真仁 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40334346)
繁岡 透 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (50167441)
藤原 直樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60272530)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | 高圧力 / 超伝導 / CeNiC2 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では、近年、高圧下で発見されている各種圧力誘起超伝導現象を研究対象に、その発現機構を明らかにするとともに、新たな新奇超伝導 物質の探索を行う事を目的とする。具体的には各種環境下での各種精密物性測定を行い、臨界圧力前後での電子状態を明らかにするため、電気抵抗、比熱、磁化等の各種測定を各圧力下で詳細に測定し、その特徴を明らかにする。本年度は昨年に引き続き、各種圧力誘起超伝導の発現機構の解明を行った。研究実施計画にしたがい、その研究結果を記載する。1）CeNiC2良質単結晶試料を用いて、電気抵抗の圧力依存性を各軸下で行った。いずれの軸方向においても超伝導現象を観測した。電気抵抗の温度依存性が各軸で異なることを明らかにし、超伝導の起源が各軸で異なる可能性があることが明らかになった。この発見を他の測定から明らかにして行く。2）高圧下でのNMR測定を行うため、測定に特化した装置を用いて、希釈冷凍機温度で測定出来るように、試料ホルダー等の整備を行った。3）良質LaNiC2の電気抵抗の圧力依存性の測定より、常圧で観測されたCDWは圧力とともに減少し量子臨界圧力が存在する事を明らかにした。また、より高圧下で出現するCDWは常圧下でのCDWと起原が異なる可能性を明らかにした。4）予定していた中性子回折実験は、原子炉の不調により中止となり実施されなかった。5）CeNiC2を中心として、NiおよびCを近接元素で置換し試料作製を行ったが、組成分離が起こり単相試料を作製することは出来なかった。その他、EuCu2Ge2の圧力効果の研究結果および新物質Ce3TiBi5の常圧下での研究結果を学術誌に報告した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した研究は、一部を除いて当初予定以上の結果を得ることが出来概ね達成できた。中性子回折が原子炉の不調およびコロナ禍の影響で実施出来なかった。置換効果による試料作製を昨年に引き続き行ったが良質試料は得られなかった。しかし、LaNiC2試料の測定によりCDW由来の量子相転移が存在することを明らかにした。その他の新試料で、圧力誘起相転移現象を示す事を明らかにした。
|
| 今後の研究の推進方策 |
CeNiC2の圧力下での電気抵抗およびその磁場効果の測定を完成させ、圧力誘起超伝導の起源に関する考察を行う。さらにホール効果等の測定を行い電子状態を探る。さらに、本年度いくつかの試料で、圧力誘起量子臨界現象が観測されたので、その起源を明らかにする。また、NMR測定や磁化測定および磁気抵抗効果等をより極限環境下で行い、新奇物性探索を行う。
|
