研究課題
微細加工技術を駆使して作製される固体素子は、印加電圧によって平衡状態から極端な非平衡状態までを連続的に制御することが可能であり、非平衡量子多体系を定量的に取り扱うことのできる理想的な舞台である。2020年度以降は、電荷だけではなく磁化のゆらぎを検出する手法として色中心量子センサに注目し、測定手法を開発してきた。最終年度2022年度の主たる成果は以下のとおりである。[1] 磁気トンネル接合における非線形伝導について2021年の成果を発展させた測定を行った。非線形伝導の普遍性を見出し、電子が接合をトンネルする際のスピン反転や、デバイス端での材料特性の変調について議論し論文を出版した。[2] 量子ドットにおける近藤温度について新たな決定方法を提案した。[3] 色中心量子センサの研究をさらに進めた。(1) 理想的な二準位系であるNV 中心を用いてフロケ状態を作りだした(論文出版)。(2) スピン状態の読み出し手法についての最適化を実証した(論文出版)。(3) NV 中心の電子スピンを二準位系として利用した実験を行い、駆動場を二次関数的に掃引する捻じれランダウツェナーモデルを実証 (4) 窒化ホウ素量子センサの技術を開発。[4] 量子センサの物性計測応用をさらに進めた。(1) ナノダイヤモンド磁場イメージングにおいて機械学習を用いた磁場推定法を開発した(論文出版)。(2) 熱伝導を可視化するため、NV 中心を用いたロックインサーモグラフィーを開発し、原理実証実験を行った(論文出版)。そのほか、(3) 超伝導体における量子渦の観測 (4) 磁気光学カー効果との同時測定手法の開発 (5) マイクロ波イメージング (6) 励起光強度依存性の調査 (7) NV 中心イメージングにおける光学収差の調査 などを行った。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
[新聞報道]「機械学習で正確性50倍 ダイヤ量子センサー 東大、磁場計測に提案」(日刊工業新聞 2022年9月5日18面)[アウトリーチ] 小林研介、「ナノテクノロジーと量子力学」、令和4年度「東大の研究室をのぞいてみよう!~多様な学生を東大に~」プログラム(2023年3月28日)対象:高校生約100名
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