研究実績の概要 |
共晶体シンチレータの設計指針としては、ファイバー、マトリックス各相の体積比が、30%程度以下となる場合、共晶体構造が得られることが、これまでの研究により判明している。開発のターゲットとしては、ファイバー相:Ce: ReB3(Re=La,Ce,Gd,Lu, B=Cl,Br,I) マトリックス相:AeB2 (Ae=Mg,Ca,Sr,Ba, B=Cl,Br,I)、AB(A=Li.Na.K.Rb, B=Cl,Br,I) を選択し、組成比、引き下げ速度、温度勾配といった共晶体作製条件を変化させ、共晶体を作製し、光学的に透明な共晶体構造が得られる作製条件を検討した。その結果 Ce:LaBr3/AeBr2 (Ae=Mg,Ca)において、ファイバー型の共晶体構造を確認した。共晶体シンチレータの設計指針として2元系共晶体をターゲットとしていたが、世界初となる3元系共晶体シンチレータへと設計指針を拡張した、その結果、屈折率が1.83と大きいTl:CsIをシンチレータファイバーとする3元系共晶体を新たに見出した。 共晶体の大型化については、GdAlO3/α-Al2O共晶体において、改良型マイクロ引き下げ法により、25mm角のウエハを作製することに成功した。新たに見出されたTl:CsI/CsCl/NaCl共晶体において、Cz法による大型結晶作製技術の開発を行い1インチ径の共晶体インゴットの作製に成功し、光学的に透明な光導波構造を有するウエハの作製に成功した。 イメージング装置の試作と粒子・光子弁別アルゴリズムの開発については、GdAlO3/α-Al2O共晶体を用いた、X線イメージング装置の試作を行い、世界初となる、直接検出型の異相イメージングの撮像に成功した。さらに半導体検出器と組み合わせたリアルタイムα線イメージング装置を開発した。
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