研究実績の概要 |
シンチレータ相としてCsI相, BaCl2相に注目し、三元系のハロゲン化物共晶体にたいする検討を実施した。CsI/CsCl/NaCl, CsI/CsCl/KCl, CsI/KI/KCl, BaCl2/NaCl/KClの新規3元系ハロゲン化物光導波型シンチレータを報告することができた。いずれも賦活剤としてCsI相にTl、BaCl2相にTb, Euを添加することで、イメージング用シンチレータ材として適した光学特性を得ることができた。さらに、CsI/CsCl/NaCl, BaCl2/NaCl/KCl共晶体に関して大口径化を行ったところ、CsI/CsCl/NaCl 共晶体においてチョクラルスキー法で1インチの結晶を作製することができ、育成速度12mm/hで共晶体均一領域が33%と最大になった。一方、BaCl2/NaCl/KCl共晶体垂直ブリッジマン法で2インチの結晶を作製することができ、育成速度0.01mm/minで共晶体均一領域が50%と最大になった。以上のように試作した共晶体シンチレータを1mm厚のプレートに加工研磨し、既存の高速CCDカメラと組み合わせたイメージング検出器を構成し、α線およびβ線に対するイメージング試験を実施した。α線に対するイメージング評価結果ととして、Tl:CsI/CsCl/NaClではFWHM:17μm, Tb:BaCl2/NaCl/KClではFWHM:33μm, Eu:BaCl2/NaCl/KClではFWHM:50μmの位置分解能が得られた。SOI-SiPMおよびASICを含めた読み出し回路の開発においては、350μmピッチの光電面を有する6x3mmを1ユニットとするSOI-SiPMおよび専用ASICを試作し、単結晶シンチレータであるGd3Ga3Al2O12と組み合わせた動作確認までを実施した。
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