研究実績の概要 |
(1) 2017 年に明らかになった雷放電で発生する光核反応に関する観測、理論解釈が進展した。GSO シンチレータによる光核反応で生成された中性子の検出を報告した(Wada et al., Physical Review D, 2020)。また、核反応プロセスを丁寧に検証した理論および観測との比較の2本の論文が出版された(Wada et al., Journal of Geophysical Research: Atmospheres, 2020)。 (2) 本予算で雇用された研究員による理論モデルの構築とシミュレーション研究が進んでいる。そのひとつの成果として、光核反応で発生した陽電子が、雷雲ガンマ線(gamma-ray glow)の発生源になるかを調べた研究を出版できた (Diniz et al., Journal of Geophysical Research: Atmospheres, 2021)。 (3) これまでに構築した観測システムのまとめ論文を出版した(Yuasa et al., Progress of Theoretical and Experimental Physics,2020)。観測は引き続いて行われており、2020年度の冬季にも雷雲からのガンマ線が確認できている。さらに、シチズンサイエンスによる多地点観測網の構築のための、可搬型検出器コガモ(Compact Gamma-ray Monitor, CoGaMo)の大量生産を行った。電波観測については、サンプリングレートとノイズ耐性を高めを安定した連続観測を可能とした。 (4) アウトリーチ活動として、2020年11月27日の理化学研究所の理研DAYイベント「研究者と話そう!~みんなで探る雷の不思議~」や、NHKサイエンスZERO「超巨大雷スーパーボルト!謎の“対消滅”を追え」 に出演した。
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