研究課題/領域番号 |
19H00684
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
ウェンデル ロジャー 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20647656)
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研究分担者 |
福田 努 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (10444390)
田端 誠 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任研究員 (10573280)
鈴木 州 神戸大学, 理学研究科, 助教 (20243298)
関口 哲郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20450356)
Friend Megan 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (50649332)
HARTZ MARK 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 准教授 (70721702)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ニュートリノフラクス / ハドロン生成 / 鉛ガラス / RPC / ニュートリノ / EMPHATIC実験 / アエロゲル検出機 |
研究実績の概要 |
本研究の対象は、ニュートリノフラクスに伴う不定性を削減するため、米国Fermi国立加速器研究所にてハドロン生成を測定することである。削減すると、様々なニュートリノ測定の感度が向上され、日本の研究だけでなく、世界中の研究にも波及すると期待されている。つまり、ニュートリノ性質への理解を深める研究である。これを実現するため、本研究はハドロン生成実験を二段階で行う計画があり、先ず小規模で測定をし、測定器の調整を行った上、完全なセットアップで陽子と標的との反応を広い散乱角を精密に測定する。本年度の活度は主に小規模実験に向けた測定器の準備と性能評価を行った。日本側の担当は、粒子識別とエネルギー測定に必要な検出機を作成し、米国に輸送した。
具体的には、主に3つの測定システムを準備した。まず標的上流に置く、入射粒子の識別に使う検出器3台を開発した。低屈折率のアエロゲルを使ったチェレンコフ光を読み出し信号としているものであり、ビーム中の粒子(陽子・Kメゾン・πメゾン)の運動運動量が閾値を超えると、発光するため、どの粒子が通ったかわかるシステムである。また、標的との反応で生成された粒子がわかるため、飛行時間を測る時間分解能の優れているRPCを一台開発した。日本国内で性能評価試験を行った結果、60ps程度の十分早い分解能になっていることが確認した。最後に、実験の最も下流に粒子のエネルギーを測る検出機を置く必要があるため、日本グループが鉛ガラスを使ったカロリーメーターを開発した。
これらの測定器を実験に導入し、米国側のものと合わせた後、2022年1月から2月の間で第一回の実験を行った。データが無事に取得し、開発した検出機の基本動作と修正改題を確認した。実験データを現在解析中であるが、論文にまとめる予定がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の1回目と2回目の測定はそれぞれ2020と2021年に行う予定であったが、新型コロナウィルスの影響により米国の共同研究機関の都合が悪くなり、結局二つとも延期されることとなった。このため、第1回の実験をやっと2022年で行うことができたが、計画がだいぶ遅れていると言える。なお、同機関は共同利用施設であり、同様な状況に落ちいている実験も他にあり、蓄積状況を緩和するため、本実験をさらに分ける必要が生じた。このため、1回目の測定の後半を2022年の夏に行うことになっている。第二回の実験のスケジュールは不明になっているが、2023年の最初という可能性がまだある。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画が大幅に遅れていることを受けて、第1回後半と第2回測定に向けて準備を進めている。第一回(前半)の測定でわかったこととして検出器のノイズ削減が必要であるため、現在より安定しているRPCの開発をおこなっている。ケースとRPCの増幅回路との関係でノイズが乗りやすいことがわかっているから、現在対策を調べている。2022年の夏にはもう一台のRPCを作成する予定であり、性能評価をした後、第2回に向けて残り3台を開発する。 なお、2回目の実験に日本の特技である原子核乾板検出時を導入し、第角度で散乱標的から出る粒子の測定を行うため、準備を進めている。関連物品は既に手に入れているため、実験スケジュールが決まったら、すぐに現地に行って組み立てる準備をしている。また、1回目後半のものも導入し、予備測定も行う。 この実験のためより大きな鉛ガラス検出機が必要となるため、高エネルギー加速器研究機構にあるものを選抜し、性能評価を行う予定である。ただ、あまりにも重いため、最近急増している運送コストを削減する必要がある。2回目実験の日付がまだ決まっていないうち、まず運送費を見ながら良い時期を目指し、輸送することになる。また時間が掛かる船で送ることも検討する。
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