研究課題
宇宙暗黒物質探索に用いる高純度NaI(Tl)検出器を複数個組み合わせて宇宙暗黒物質探索を実行した。実験に先立ち、検出器本体のNaI(Tl)結晶の純化が必須であると判断し、NaI(Tl)結晶に含まれる放射性不純物であるカリウム40と鉛210の除去を確認した。直径7.62 cm長さ7.62 cmの円柱形NaI(Tl)結晶を製造し、宇宙暗黒物質探索装置として組み立てて実験を遂行した。実験は岐阜県飛騨市の東北大学ニュートリノ科学センター神岡地下実験室にて行った。2022年度までに作った2個のNaI(Tl)モジュールを、無酸素銅と鉛のシールド内に設置して低バックグラウンド測定を実施した。無酸素銅シールドは厚さ5 cm、鉛は10年以上地下に保管していた低バックグラウンドの材料を中心部に設置して厚さ20 cmとした。初めにα線放出核種の定量を行い、2個のNaI(Tl)についていずれも目標としていた純度を達成できたことを確認した。これにより、本研究課題で開発した純化方法の再現性を確認でき、将来の実験計画で実行する純化方法を確立した。低エネルギー領域のバックグラウンドは10 keV付近で1~2 /day/keV/kgという低バックグラウンドを達成した。これはDAMA/LIBRAグループの結果の約2倍となっており、複数の検出器によって事象の選別(反同時計数など)を実施していないにもかかわらず十分に低い値を確認した。将来の大型化にて反同時計数の手法を確実に実施すれば世界最高感度の測定が可能になることが示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本結晶成長学会誌「特集 バルク結晶の欠陥・不純物の制御と評価」
巻: 40 ページ: 49-4-03