研究課題/領域番号 |
19H00691
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大森 恒彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, シニアフェロー (80185389)
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研究分担者 |
高橋 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 准教授 (50253050)
上杉 祐貴 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60780682)
鷲尾 方一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70158608)
照沼 信浩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (70237014)
Aryshev Alexander 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (70801588)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | X線イメージング / 偏光X線源 / レーザー・電子衝突 / コンプトン散乱 / 偏極ガンマ線源 |
研究実績の概要 |
自発共鳴・レーザー発振光蓄積空洞の高性能化のための基礎研究を行った。
具体的には小型の大気中試作空洞を用いた、高フィネス化、パルス化の研究を進め、特にそれらが安定性と両立する条件を研究した。これと関連して光蓄積空洞のモード、モード間の関係、それが安定性に及ぼす影響を研究した。また温度の変化がレーザー発振の安定性に与える影響を精査するために、レーザー装置内および実験室内の多地点に温度計を測定し連続して計測を行った。これにより温度の安定かが重要であることが明確になった。温度管理の重要性が判明したことに伴い、レーザー装置内に水冷式ヒートシンクボードを多数設置し、恒温水を流して温度安定化を図った。これに加えてレーザー光路の最適化や反射光の戻り防止などを徹底することにより、安定度は大きく改善した。現状ではモードロック状態が1時間ほど続くまで定性が向上した。この間、平均して一度くらいモードロックの外れが起こるが、すぐに自発的にモードロック状態に復帰する。
衝突相手の電子ビームを生成する加速器のコントロール系の改善を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自発共鳴発振による光蓄積という全く新しい方式のレーザーを開発しているが、その発振の安定性を確保することに時間がかかっている。温度管理が重要であることがわかってきたが、温度管理の方式の研究は、条件を変化させてから結果を得るまでの1ランウンドに時間がかかり、そのことも時間のかかる要因になっている。本研究ではレーザーパルスをを衝突の相手である電子ビームを生成する加速器の運転用マスターオシレーターとしても使用する。そのためレーザー発振の安定性は重要であり、時間がかかっても丁寧に研究する必要がある。
また 2021 年も昨年同様に新型コロナウイルスの猛威が続き2021年1月初めから9月終わりにかけて緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置がほぼ切れ目なく出される事態となり、所属する研究機関での方針などもあり、活動も大幅に制限され、研究を進める上での困難があった。
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今後の研究の推進方策 |
温度の安定化をさらに推進する。そのために (1) 実験室の温度安定化のために、冷房機と熱源 (ヒーター) を併用し、(2) レーザー蓄積空洞の温度安定化のために恒温水パイプを空洞全体に巻きつける、などの方法の研究を進める。
開発中のレーザーを小型加速器のマスターオシレーターとして使用する研究を行う。本研究ではレーザー光と電子ビームの衝突により、高品質の X 線を生成することが最終目標である。そのためにはレーザーと加速器の同期が必要である。同期を確実にするために我々はレーザーパルス自身を加速器運転のためのマスターオシレーターとして使用することを考えている。これまでも同期に関する理論的検討を行なってきた。今後は実際に自発共鳴発振レーザーをマスターオシレーターとして加速器を運転する実証的な研究を行う。
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