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2022 年度 実績報告書

多重AGNの統合研究で紐解く超巨大ブラックホールの起源

研究課題

研究課題/領域番号 19H00697
研究機関筑波大学

研究代表者

梅村 雅之  筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)

研究分担者 長尾 透  愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 教授 (00508450)
松田 有一  国立天文台, アルマプロジェクト, 助教 (20647268)
高橋 労太  苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (40513453)
大内 正己  東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40595716)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード巨大ブラックホール / 活動銀河核
研究実績の概要

理論の全体計画は,AGNブラックホールへの質量降着とそのスペクトルの精密な計算,並びにAGNと銀河の宇宙論的な共進化シミュレーション,超巨大ブラックホール合体のシミュレーションを行うことである。今年度は,ブラックホール周りの一般相対論的輻射輸送を完全に解くことが出来る2次元ARTISTコード(開発済)を光子数を保存する3次元コードに拡張し,新たなコード"CARTOON"を開発し,論文として取りまとめた。そして,これを一般相対論的磁気流体コードに組み込んで,ブラックホールへの超エディントン降着,亜エディントン降着,ホイル・リットルトン降着についてのシミュレーションのモデルを構築した。観測の全体計画は,赤方偏移2~3における多重AGNの狭帯域(NB)フィルターを用いた広域サーベイを実施し,検出された多重AGN候補天体に対し面分光装置を使った分光追観測を行うことである。さらに,多重AGNの周辺環境や母銀河に対し,X線,可視・赤外,電波・サブミリ波の多波長観測の計画を策定する。AGN検出確率を上げるために本計画では,(1) Lya輝線に加えてAGNに特徴的なCIV, HeII輝線のコンビネーションを使う,(2) 狭帯域(NB)フィルターを並べて1型AGNに特徴的な速度幅の広い輝線を捉える,という2つの戦略を遂行する。今年度は,本課題で開発した狭帯域(NB)フィルターNB506を用いて,NB497/NB506/NB515(NB527)を並べることで,すばる/HSCによるz=3.1-3.3の20,000km/s以上の線幅をもつLya輝線も検出する観測プロポーザルが採択され,観測の一次データを取得した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理論では,一般相対論的輻射輸送2次元ARTISTコードの3次元拡張コードの開発が順調に進んだ。そして,これを一般相対論的磁気流体コードに組み込んで,ブラックホールへの超エディントン降着,亜エディントン降着,ホイル・リットルトン降着についてのシミュレーションのモデルを構築することができた。観測では,開発したNB506フィルターを用いて,NB497/NB506/NB515(NB527)を並べることでz=3.1-3.3の20,000km/s以上の線幅をもつLya輝線も検出するプロポーザルをすばる/HSCに提出し採択された。そして,観測の一次データを取得し,Lya輝線に加えてAGNに特徴的なCIV, HeII輝線のコンビネーションを探すデータベースの構築の準備ができた。

今後の研究の推進方策

本研究では,新たに開発した3次元の一般相対論的輻射輸送コードCARTOONを用いた理論計算と,多重AGNと母銀河およびその周辺環境の多波長観測を突き合わせた統合研究により,マゴリアン関係成立のプロセスを紐解き,超巨大ブラックホールの起源を明らかにする。理論の全体計画は,AGNブラックホールへの質量降着とそのスペクトルの精密な計算,並びにAGNと銀河の宇宙論的な共進化シミュレーション,超巨大ブラックホール合体のシミュレーションを行うことである。具体的には,CARTOONコードを一般相対論的磁気流体コードに組み込んで,一般相対論的輻射磁気流体コードを開発し,これを用いてブラックホールへの超エディントン降着,亜エディントン降着,ホイル・リットルトン降着についてシミュレーションを行い,これまでにない精密降着円盤モデルを構築する。観測の全体計画は,赤方偏移2~3における多重AGNの狭帯域(NB)フィルターを用いた広域サーベイを実施し,検出された多重AGN候補天体に対し面分光装置を使った分光追観測を行うことである。さらに,多重AGNの周辺環境や母銀河に対し,X線,可視・赤外,電波・サブミリ波の多波長観測のプロポーザルを策定する。そして,本研究課題で開発した狭帯域(NB)フィルターNB506と,既存のNB497,NB515,NB527フィルターを組み合わせ,COSMOS天域の赤方偏移z ~ 3の150cMpc×150cMpc×280cMpc の領域内のAGNの完全なマップを作成し,多重AGNの数密度を決定するとともに,ホスト銀河と多重AGNの相関関係を導き出す。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Comprehensive Search of Stable Isomers of Alanine and Alanine Precursors in Prebiotic Syntheses2022

    • 著者名/発表者名
      Shoji Mitsuo、Watanabe Natsuki、Hori Yuta、Furuya Kenji、Umemura Masayuki、Boero Mauro、Shigeta Yasuteru
    • 雑誌名

      Astrobiology

      巻: 22 ページ: 1129~1142

    • DOI

      10.1089/ast.2022.0011

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Theoretical Investigation into a Possibility of Formation of Propylene Oxide Homochirality in Space2022

    • 著者名/発表者名
      Hori Yuta、Nakamura Honami、Sakawa Takahide、Watanabe Natsuki、Kayanuma Megumi、Shoji Mitsuo、Umemura Masayuki、Shigeta Yasuteru
    • 雑誌名

      Astrobiology

      巻: 22 ページ: 1330~1336

    • DOI

      10.1089/ast.2022.0005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] EMPRESS. VIII. A New Determination of Primordial He Abundance with Extremely Metal-poor Galaxies: A Suggestion of the Lepton Asymmetry and Implications for the Hubble Tension2022

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto Akinori、Ouchi Masami、Umemura Masayuki、et al.
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal

      巻: 941 ページ: 167~167

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ac9ea1

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 3D photon conserving code for time-dependent general relativistic radiative transfer: CARTOON2022

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Mikiya M、Ohsuga Ken、Takahashi Rohta、Ogawa Takumi、Umemura Masayuki、Asahina Yuta
    • 雑誌名

      Monthly Notices of the Royal Astronomical Society

      巻: 517 ページ: 3711~3722

    • DOI

      10.1093/mnras/stac2822

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Deep Learning of Diffuse Optical Tomography Based on Time-Domain Radiative Transfer Equation2022

    • 著者名/発表者名
      Takamizu Yuichi、Umemura Masayuki、Yajima Hidenobu、Abe Makito、Hoshi Yoko
    • 雑誌名

      Applied Sciences

      巻: 12 ページ: 12511~12525

    • DOI

      10.3390/app122412511

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 宇宙流体力学の基礎 改訂版2022

    • 著者名/発表者名
      福江 純、和田 桂一、梅村 雅之
    • 総ページ数
      416
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      978-4-535-78985-2
  • [図書] 放射素過程の基礎2022

    • 著者名/発表者名
      中村 文隆、鶴 剛、長田 哲也、藤沢 健太、梅村 雅之、福江 純
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      978-4-535-60343-1

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公開日: 2023-12-25  

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