研究課題/領域番号 |
19H00698
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河合 誠之 東京工業大学, 理学院, 教授 (80195031)
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研究分担者 |
谷津 陽一 東京工業大学, 理学院, 准教授 (40447545)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 紫外線天文学 / 突発天体 / 重力波 / 超新星 / 超小型衛星 |
研究実績の概要 |
本研究では、重力波に伴う中性子星連星合体からの紫外線放射や、近傍宇宙における重力崩壊型超新星のショックブレイクアウトなど、紫外線領域での突発天体天体の検出および迅速な追跡観測を行うための超小型衛星に搭載する約20平方度の天域を200-300nmの波長域で観測する広視野近紫外線天体監視装置を開発することを目的として研究を開始した。 当初は、6U CubeSat を衛星バスとして想定していたが、光学系の設計を進めた結果、軌道上の熱環境のに対応することが難しいことと、様々なバス部品の費用が高価であることが明らかになってきた。一方、東工大松永研究室を中心にJAXA革新的衛星技術実証2号機で「超小型衛星による可変形状機能を用いた姿勢制御の軌道上実証」を行う超小型衛星「ひばり」の50kg級衛星バスの開発が進み、これを採用することによって、熱設計が容易になることが明らかになった。大きさに余裕ができたこともあり、衛星リソースを地球・海洋観測ミッション「超低コスト高精度姿勢制御バスによるマルチスペクトル海洋観測技術の実証」と相乗りをすることにより費用面の問題も克服し、「うみつばめ」衛星として開発することになった。もともと太陽光の散乱のために日照時の紫外線観測は想定していなかったので、衛星の昼は地球観測、日陰では天体観測を行うというように完全に両立が可能である。2019年度にこの衛星と共同研究の枠組みを決定し、 JAXA革新的衛星技術実証3号機のテーマに採択された。本研究では、天文ミッションの紫外線カメラ、データ処理、テレメトリ部分を主に開発するが、このような大きな設計変更があったために、多くの部品購入を次年度に繰り越して実施することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要に記述したように、単独ミッションの6U CubeSat という当初の計画から、50kg級衛星バスを用いた地球海洋観測ミッションとの相乗りという、大きな変更を行ったために、2019年度の実施する予定であった観測装置と衛星バスの詳細設計は2020年度にほぼ1年遅れで実施することになった。ただし、光学系の設計などは当初予定通りにほぼ完成している上、衛星構造体および電源系、姿勢系、通信系などは先行ミッションのものをほぼ流用するために、むしろ当初計画よりも我々にとっての新規要素は少なくなっている。また、JAXA革新的衛星技術実証3号機という打上げの境界条件も定まり、その時期は2022年という、本研究の当初計画よりも1年遅れるために、開発期間は変わらない。スケジュールとしては遅れているものの、内容的にはむしろ充実し確実な計画になってきている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年夏の完成、搬出、および同年度内の打上げというスケジュールに従って、衛星および観測装置、データ解析システムの開発を進める。衛星バスおよび地上運用に関しては「うみつばめ」衛星のパートナーともに開発と準備を進める。紫外線カメラに関しては、試作部品による試験を重ねながら詳細設計を進める。また、突発天体の観測に関しては、突発天体の検出および測光を正確に行えるように、紫外線バンドの参照星カタログを整備し、また、効率的な突発天体検出のアルゴリズムの研究を進める。これらに基づき、地上解析パイプラインの開発を実施する。
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