研究課題/領域番号 |
19H00702
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
瀬田 益道 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80358994)
|
研究分担者 |
酒井 剛 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20469604)
中井 直正 関西学院大学, 理工学部, 教授 (80192665)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | SIS素子 / ヘテロダイン受信機 |
研究実績の概要 |
本研究では、電波分光観測用検出素子に超電導素子(SIS)に、Nb3Ge/NbOx/Al/Nbを用い、1 THzを超えて2.4 THzまで動作可能なSIS素子を製作する。また、そのSIS素子を搭載するヘテロダイン却受信機の開発を目的としている。素子の製作に関しては、真空層内で薄膜の積層条件を探りながら、電気抵抗値の測定値や電子顕微鏡等による製作した膜の形状評価結果をフィードバックして、良好な膜を製作できる条件を見出す等、高い臨界電流値を持つNb3Ge薄膜の積層までは順調に進んでいたが、夏頃成膜装置に半年間作業が中断してしまい、SIS構造の電気特性の評価には至らなかった。ヘテロダイン受信機は、将来的に、搭載が想定される、南極 10m望遠鏡の受信機としても成立する受信機の設計を行った. 10m望遠鏡のヘテロダイン受信機は、ナスミス焦点の一つの受信機室に、複数の受信機ポートを設け、切り替え鏡により受信機ポートを選択する。受信機の周波数が異なっても、どの受信機ポートでも共通に使えるよに、伝送ビームは、周波数に依存しない設計としている。この一つのポートに設置される冷却受信機には、2個のユニットを搭載するが、その一つをTHz用受信機に使用する。冷却受信機の構造体が受信機ポートの規定範囲に収まること、信号ビームの伝送に障害物の支障が無いことを、ビーム伝送、及び構造体の3Dシュミレーションで確認した。南極での運用に適合した、消費電力の小さい冷凍機で、 SISの動作に必要な4Kの極低温 環境が得られる見込みであることを、熱解析により確認した。開発中の望遠鏡を用いて展開する南極での天文学に向けて、サブミリ波のCI輝線を用いて近傍銀河の中心領域を観測した。CI輝線がCOに匹敵する有用なトレーサーであることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SISの素子の素となる薄膜積層は順調に進んでいたが、夏に、予期せぬSISを製造する成膜装置に不具合が発生してしまった。故障部品が調達に時間を要する物であったため、修理完了まで半年程を要してしまった。3月以降、新型コロナの影響で、大学院生が実験を行うことに、入構禁止等強い制約が生じてしまい、研究の進捗は遅れ気味であると判断せざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナの影響が終息せず、4月以降も2ヶ月以上にわたり、研究施設への入構禁止措置が継続しているのは、非常に厳しい状況ではある。実験的な研究でありオンラインでの進展は困難であるが、リモート会議等で、既存データの検討や士気の維持に努める。規制が緩和され次第、 SIS素子の製作再開、ヘテロダイン受信機の設計、試作、評価作業を早急に再開し、通常時に増して研究のペースを加速させる。
|