人工衛星「ひとみ」後継機XRISMのカロリメータ等による精密分光観測時代を見据え、実験室での原子データ計測を行うことで、X線スペクトルの解釈の精度向上を狙った提案である。データベースを実験室で作成することに加えて、得られた原子データを既存のIa型超新星残骸の観測結果に適応してスペクトルの理解を深化させることも目指している。 近いうちに到来するX線の高分解能スペクトル観測時代に、その解釈に必要な原子物理データを提供することができる。また、Ia型超新星残骸のスペクトルにそのデータを適応することで、当該超新星における元素合成プロセスの理解が深まることも期待される。また長期的には、観測と理論という従来の天文学の2本柱に加えて地上実験という新たな柱を打ち立てることで、今後のX線天文学に新たな展開をもたらす可能性もある。
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