研究課題
南極ドームふじアイスコアを対象に、酸素同位体ステージ6を完全に網羅する百年解像度のベリリウム10記録を獲得した。また同コアの年代モデルを向上させる目的でガス分析を行うとともに、過去約20万年間の新たな高確度年代モデルDF2021を公表した。この年代モデルを得られたベリリウム10記録に適用したところ、酸素同位体ステージ6では約1万年のサイクルで宇宙線強度の強弱が繰り返したことが明らかになった。さらに、19万年前の地磁気極小期に関連した宇宙線強度の極大期を対象に、約2年解像度のベリリウム10データを500年分獲得した。これも同様にDF2021を年代軸として時系列解析を行ったところ、現代と類似した太陽の短周期活動が、当時にも存在していた可能性が高いことが明らかになった。以上の研究と平行して、堆積物や岩石から得られた複数の記録を吟味・検討することで、古地磁気強度の推定を高度化させた。単年解像度での分析が必要な完新世の宇宙線イベントや太陽活動に関して、トラバーチンやアイスコアのベリリウム10分析を行い、年輪炭素14分析の結果とともに解析を進めた。また、新たな研究対象として、トラバーチンの雨季層の分析や南極沿岸域アイスコアの季節解像度分析を行い、双方からシュワーベ周期の証拠を見出した。南極地域観測隊の内陸トラバースにより採取された表面積雪を対象に、ベリリウム10濃度の空間分布を明らかにし、これを論文として公表した。これにより、宇宙線プロキシとしてのより正確な利用に不可欠な、南極におけるベリリウム10の沈着メカニズムの解明に前進した。以上の結果を含めた関連する成果について、国内・国際学会での発表や論文での公表を行った。また、成果のまとめと公表に向けた研究打ち合わせを実施した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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