地球内部のマントルと宇宙からの隕石の間で、モリブデンとルテニウムという元素の安定同位体組成が異なっている、という「親鉄元素同位体のパラドックス」に着目し、原始地球の組成を残していると考えられる太古代コマチアイトという岩石が鍵を握る物質だとの作業仮説の下に、この岩石や月・火星などからの隕石の同位体組成を調べて、地球の原材料や形成過程を理解しようとする研究である。 本研究で得られる結果は、どのような隕石が集積して地球型惑星が作られたのか、という疑問に対してひとつの解を与えることが期待されるとともに、地球史におけるマントルの進化や核・マントルの相互作用、さらには地球がどのようにして揮発性物質を獲得したのか、というモデルの再考を促す可能性など、地球生命の起源の議論にまで影響を与える可能性がある。
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