研究課題
地震波速度異方性の存在から、固体金属でできた地球の内核で大規模な流動変形が起こっていることが示唆されているが、内核での流動変形の実態は内核物質の物性の理解が不十分なためよくわかっていない。本研究では、内核の主要構成物質であるhcp鉄とその関連物質の変形実験と元素拡散実験によりhcp鉄のレオロジーをミクロな素過程から総合的に解明し、内核の異方的構造の形成メカニズムに迫ることを目指している。2019-2020年度には、高エネルギー加速器研究機構に設置されているD111型高圧変形実験装置および高輝度光科学研究センター(SPring-8)に設置されているD-DIA装置を用いた高温高圧変形その場観察実験を行ない、hcp鉄とその低圧相であるbcc鉄の流動則を定量的に明らかにし、2021年度は、本科研費によりSPring-8に導入されたD111型高圧変形装置を用いた実験方法の運用を軌道に乗せた。2022-2023年度は、これを用いてhcp鉄のレオロジーへの水素の影響に関する実験を進め、dhcp構造およびhcp構造の水素化鉄 (dhcp-FeHx) の流動則に関する結果を得た。より高水素濃度であるdhcp-FeHxはhcp構造の純鉄よりも軟らかいもののその応力値は同一条件下で0.5-0.7倍程度であった。また、より低水素濃度のhcp-FeHxはdhcp-FeHxとhcp鉄の中間的な応力を示した。これらの結果は、水素が内核の粘性率に与える影響は小さいことを示唆している。いっぽうで元素拡散実験では、鉄と鉄ニッケル合金のペアを試料として用いた高温高圧実験を水素飽和条件下で行い、鉄の拡散に与える水素の影響についての結果が得られている。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 7件) 備考 (2件)
Journal of Geophysical Research: Solid Earth
巻: 129 ページ: -
10.1029/2023JB027906
Core-Mantle Coevolution: A Multidisciplinary Approach, American Geophysical Union
巻: - ページ: 59~73
10.1002/9781119526919.ch4
巻: 128 ページ: -
10.1029/2022JB026165
https://research.ehime-u.ac.jp/post-ja/post-1253/
https://research.ehime-u.ac.jp/post-1250/