研究課題
惑星を持つ恒星について、紫外線輻射の代表値であるライマンα線強度とその変動を捉え、地上望遠鏡による大気観測と合わせて海洋の存否を中心として惑星大気・気候を明らかにすることを目的とした、紫外線検出器の開発を進めた。系外惑星系の紫外線輻射量はほとんど計測されていない状況であり、2018年4月に打ち上げられたトランジット系外惑星探査衛星(TESS)により、さらに多くの系外惑星が発見されている。研究代表者が開発した、深宇宙超小型探査機PROCYONに搭載されたライマンα線カメラLAICAの試験観測によって太陽系から20pcにある低温度星のライマンα線が検出できており、本研究ではTESSの主要な観測対象となる地球近傍30pc以内の恒星深紫外線観測を実現するために、紫外線検出器の高効率化を達成するため検出器の試作を進めた。MCPの表面形状の変更(ファネル型)により実効開口率を向上させる可能性があることに着目し基礎開発を進め、ファネル型と従来品の性能の比較を行った。また、レジスティブアノードを用いた位置検出を行うPROCYON/LAICAとは異なり、より高分解能でダイナミックレンジを向上させるためにMCPとCMOSイメージセンサを組み合わせることで位置分解を行う方式について開発を進めた。宇宙望遠鏡での使用で想定される通信可能データ量の制約から、機上で画像取得と同時にデータ処理を行うためにプログラマブルFPGAを搭載したCMOSイメージセンサを組み合わせて、MCPから来る光の位置検出を行える見込みが得られた。これらの結果を基にして、ロシアの1.7m紫外線望遠鏡WSO-UVやNASAのLUVOIRなどの大型計画参入について検討を進めた。
2: おおむね順調に進展している
2014年に製造したPROCYON/LAICAに用いられた部品の入手が困難となったために、この部分の完成、性能検査の実施は2020年度に行うこととなったが、それ以外の部分には遅れはなく順調に進んでいる。また、日本からWSO-UV計画に参加するための検討チームがJAXA内に設立されたことにより、本計画で想定している地球型惑星の観測は想定より早く実現される見込みが出てきた。NASAのLUVOIR計画検討チームとの情報交換も進み、本研究で開発するファネル型MCPが重要技術要素として記載された。
LUVOIR計画では大型で高感度のMCP検出器が必要となる。ファネル型MCPで大型なものは2019年度の時点では製造実績がなく、2020年度以降に試作による性能検証が必要となる。また、従来の、日本では宇宙での使用実績が複数あるレジスティブアノードによる読み出し方式と本研究で開発するCMOSを用いた読み出し方式の比較を行い、特にCMOS方式のデータ処理手法を開発することが必要となる。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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