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2019 年度 実績報告書

局所共振現象を取り入れた弾性波動・電磁メタマテリアル構造の創成

研究課題

研究課題/領域番号 19H00740
研究機関名古屋大学

研究代表者

松本 敏郎  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10209645)

研究分担者 植田 毅  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30251185)
山田 崇恭  京都大学, 工学研究科, 助教 (30598222)
飯盛 浩司  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50638773)
高木 賢太郎  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60392007)
高橋 徹  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90360578)
田地 宏一  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00252833)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードフォトニック構造
研究実績の概要

振動遮断特性を有する複数の材料から構成される局所的な微細構造が埋め込まれた周期構造により,振動や騒音を格段に遮断することが可能フォノニックメタマテリアルのトポロジー最適化を行う方法論の開発のために、境界要素法を用いた局所共振周期構造高精度なトポロジー導関数の解析法の開発と,レベルセット法を組み合わせたトポロジー最適化法の検証を行っている。レベルセット法は、材料分布が定義された領域中の1点を考えたとき、その点が材料中にあるときは正、材料の境界にあるときは0,材料の外部にあるときは負の値を取るように定義されたスカラー関数であり、その分布が変化すると材料分布の境界が変化することになる。本研究では、この変化を目的関数のトポロジー導関数に比例するもととして取り扱うので、様々な目的関数に対するトポロジー導関数を導出しておく必要がある。
本年度はまず,フォノニックメタマテリアル単位周期構造を想定して,波動問題の典型的な目的関数に対するトポロジー導関数の導出とレベルセット関数を用いたトポロジー最適化のアルゴリズムの導出を行った。導出したアルゴリズムは散乱断面積の最小化問題のクローキングデバイスのトポロジー最適化に適用して、その有効性を示すことができた。また、想定されるもう一つの目的関数として、デバイスの固有振動数があげられるが、単位周期構造の固有振動数の再配置を目的関数としたときの開放型共振器構造のトポロジー導関数の導出と無限領域中の散乱体に対する散乱周波数の計算法のアルゴリズムの導出を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,振動遮断特性を有する複数の材料から構成される局所的な微細構造が埋め込まれた周期構造により,振動や騒音を格段に遮断することが可能な3次元フォノニックメタマテリアルのトポロジー最適化を行うことを目的としており、単位周期構造に対するHelmholtz方程式を基本とした波動問題の直接解析法の確率、様々な目的関数を想定したトポロジー最適化法の検討がまず必要である。本年度ではHelmholtz方程式の基本的な数値解析法として境界要素法を用い、複数材料からなる単位周期構造としてのトランスミッション問題を解析する方法を確立した。また、基本単位構造中の材料分布を決定するためには何らかの最適化を行う必要がある。本研究では、材料境界をレベルセット関数のゼロ等値面として抽出し、レベルセット関数を目的関数のトポロジー導関数に比例するように発展させるレベルセット法を採用する。様々な目的関数に対してトポロジー導関数の理論的表現を導出する必要があり、本年度は散乱断面積と固有振動数を目的関数とする場合について、トポロジー導関数を導出した。また、無限領域中の散乱体に対する固有振動数である散乱周波数について櫻井・杉浦方を用いて計算する方法を確立している。

今後の研究の推進方策

トポロジー導関数の計算には、通常、随伴問題の解を用いることができる。これにより、設計パラメータが多数ある場合も計算が極めて簡略化される。随伴問題の導出のためには、境界の目的汎関数が境界のポテンシャルとその法線方向流束で表現されている必要がある。しかしながら、より一般的な設計問題によっては、境界の目的汎関数が境界のポテンシャルの接線方向流束で表現されている場合も想定される。より一般的なトポロジー最適化法の取り扱い法を導出するために、まず境界の目的汎関数が境界のポテンシャルの接線方向流束で表現されている場合について検討する。また、周期構造が多数の散乱体からなる単位周期構造からなる散乱問題を境界要素法で解析する場合の計算効率が必ずしも良くないので、別の効率的な解析法の検討を進める。このような解析法の可能性として、散乱行列と境界要素法を組み合わせた解析法と多重散乱解析への適用を検討する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2021 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Determination of scattering frequencies for two-dimensional acoustic problems using boundary element method2021

    • 著者名/発表者名
      Haifeng Gao, Changjun Zheng, Xiaolai Qiu, Huidong Xu, Toshiro Matsumoto
    • 雑誌名

      JOURNAL OF LOW FREQUENCY NOISE VIBRATION AND ACTIVE CONTROL

      巻: 40 ページ: 39-59

    • DOI

      10.1177/1461348419879604

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 松本敏郎境界要素法と櫻井・杉浦法を用いた開放型共振器のトポロジー最適化2019

    • 著者名/発表者名
      松島慶, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 雑誌名

      計算数理工学論文集

      巻: 19 ページ: 49-54

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 散乱断面積最小化によるクローキングデバイスのトポロジー最適設計2019

    • 著者名/発表者名
      山本遼, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 雑誌名

      計算数理工学論文集

      巻: 19 ページ: 67-72

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A 3D topology optimisation with level-sets of B-spline surface2019

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Isakari, Toru Takahashi, Toshiro Matsumoto
    • 学会等名
      WCSMO13
    • 国際学会
  • [学会発表] A topology optimisation of elastic metamaterials exhibiting negative refraction with the boundary element method2019

    • 著者名/発表者名
      Kei Matsushima, Hiroshi Isakari, Toru Takahashi, Toshiro Matsumoto
    • 学会等名
      WCSMO13
    • 国際学会
  • [学会発表] S行列と境界要素法に基づく多層周期構造による弾性波散乱解析2019

    • 著者名/発表者名
      松島慶, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 学会等名
      第24回計算工学講演会
  • [学会発表] S行列と高速直接境界要素法に基づくフォノニックバンド計算について2019

    • 著者名/発表者名
      松島慶, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 学会等名
      第65回理論応用力学講演会・第22回土木学会応用力学シンポジウム
  • [学会発表] 音響デバイスの広帯域化のためのロバストトポロジー最適化2019

    • 著者名/発表者名
      Jincheng Qin, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 学会等名
      第65回理論応用力学講演会・第22回土木学会応用力学シンポジウム
  • [学会発表] 散乱行列と境界要素法に基づく弾性体多層周期構造のトポロジー最適化2019

    • 著者名/発表者名
      松島慶, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 学会等名
      日本機械学会 2019年度年次大会
  • [学会発表] 2次元Helmholtz方程式の1周期境界値問題の境界要素法とその応用2019

    • 著者名/発表者名
      中島寛也, 飯盛浩司, 高橋徹, 松本敏郎
    • 学会等名
      日本機械学会計算力学講演会
  • [学会発表] A Numerical Method for Computing the Scattering Matrix by the Boundary Elemen Method with Applications to Phononic Band Analysis2019

    • 著者名/発表者名
      Kei Matsushima, Hiroshi Isakari, Toru Takahashi, Toshiro Matsumoto
    • 学会等名
      Metamaterials2019
    • 国際学会
  • [学会発表] A boundary integral formulation for topology optimisation problems with frequency uncertainty2019

    • 著者名/発表者名
      Jincheng Qin, Hiroshi Isakari, Toru Takahashi, Toshiro Matsumoto
    • 学会等名
      ICOME2019
    • 国際学会
  • [学会発表] BEM-Based Robust Topology Optimisation for Broadening Bandwidth of Acoustic Devices2019

    • 著者名/発表者名
      Jincheng Qin, Hiroshi Isakari, Toru Takahashi, Toshiro Matsumoto
    • 学会等名
      APCOM, Taipei
    • 国際学会
  • [学会発表] A Multiple Scattering Analysis Based on the Scattering Matrix and a Fast Direct BEM2019

    • 著者名/発表者名
      Kei Matsushima, Hiroshi Isakari, Toru Takahashi, Toshiro Matsumoto
    • 学会等名
      APCOM, Taipei
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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