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2020 年度 実績報告書

流体を噴射して閉鎖空間を飛行する索状ロボットの研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H00748
研究機関東北大学

研究代表者

田所 諭  東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40171730)

研究分担者 昆陽 雅司  東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (20400301)
多田隈 建二郎  東北大学, タフ・サイバーフィジカルAI研究センター, 准教授 (30508833)
安部 祐一  東北大学, 工学研究科, 助教 (90778622)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードレスキューロボット / 索状ロボット / 消火 / 飛行
研究実績の概要

本研究では,流体を噴射して閉鎖空間を飛行するホースロボットの研究開発を目指しており,ホースロボットを長尺化するために必要なそれぞれの要素技術の研究を行った.
長尺なホースの高次モードの動的安定性の確保を目標に,分布的流体力が長尺のホースに及ぼす動的挙動について基礎実験を行った.先端にノズルを付けた比較的剛性の固い梁ロボットを試作し,内部に流体を流し,先端ノズルの鉛直位置を流体反力でPD制御した.この時,流体は散逸効果を及ぼし,高次の振動モードを抑える効果を及ぼすことが分かった.本結果は論文として来年度投稿予定である.
ホースが曲げによってねじれると,ノズルユニットの姿勢が変わってしまい,浮上に十分な力を実現できず制御が破綻する恐れがある.本年度は,ノズルユニットの力の実現性を考慮した(ねじれを減らすことも含む)形状制御方法を提案し,シミュレーションで実装した.しかし,この解決策では,衝突などによる意図しない形状変化が起きた際に制御が破綻しうる.そのため,平行して,本問題を根本的に解決できる,ホースのねじれの影響を受けないノズルユニットの開発に取り組んだ.ノズルユニットとホースを受動回転軸で連結し,ノズルユニットで内向き方向に流体を噴射して合力を実現することで,合力の方向をユニットが自動的に追尾する.これによりホースのねじれの影響を受けずに合力を実現することができる.単一のノズルユニットを試作し,本原理が正しいことを検証した.本結果はIEEE RA Lettersに論文が採択された.
ホースを経路に沿って曲げながら運動させることを実現させるために,本年度は空飛ぶホース根本の台車を用いた能動化,ROSを用いたシミュレーションの構築に取り組んだ.台車を用いることで4mのホースの遠隔操作に成功した.本結果は論文として来年度投稿する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では,「分布的流体力が長尺のホースに及ぼす動的挙動」については,実際の柔軟索状体にたいして及ぼす効果についてまで分析する予定であった.しかし,新型コロナ感染症により研究室が閉鎖となり,その後もフルに研究室での実験ができなかったため,梁モデルによる簡易実験が今年度後半にまでずれ込み,柔軟体についての分析まで進まなかった.「ホースのねじれの影響最小化のための形状生成手法」についても,今年度中に実機検証まで行う予定であったが,同じ理由で実機検証までは進まなかった.
実績の概要で述べたように、研究成果は高いレベルで順調に出ている。ところが一方で、コロナの影響によって実施を計画していた研究項目の一部に進捗の遅れがあり,実施できていない事項が残ってしまっている.

今後の研究の推進方策

1)本年度得た高次モードの動的挙動についての基礎実験をもとに,柔軟なロボットへとモデルと制御手法を拡張し,流体効果による制振効果についての実機検証を行う.
2)本年度得たホースのねじれの影響を最小化する制御方法と新規開発したノズルユニットを実際のロボットに実装し,提案手法の妥当性を評価する.
3)ホースを経路に沿って曲げながら運動させるために,シミュレータを構築し,目標とする経路を追従する手法を提案する.特に台車の運動によって空飛ぶホースが安定性を崩さないことが重要であり,ホースの安定性を考慮した台車の制御方法も提案する.シミュレータ上で6mのロボットの経路計画を実装し,実機実験によってその妥当性を検証する.
4)壁・床・天井等の障害物との接触時でも安定性を維持することを目的に,以下の2点に取り組む.(1) 障害物を回避して経路を計画する方法.(2) ロボットに大きな外乱が加わった際に墜落を防ぐための制御方法を提案する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Novel Fire Extinguishing Method using Flying-Hose-Type Robot Dragon Firefighter2021

    • 著者名/発表者名
      Hisato Ando, Yuichi Ambe, Yu Yamauchi, Yukihiro Maezawa, Masashi Konyo, Kenjiro Tadakuma, Hiroyuki Torikai, Shigenao Maruyama, Satoshi Tadokoro
    • 雑誌名

      Proc. International Symposium on Fire Safety Science

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Passive Orientation Control of Nozzle Unit With Multiple Water Jets to Expand the Net Force Direction Range for Aerial Hose-type Robots2021

    • 著者名/発表者名
      Yu Yamauchi, Yuichi Ambe, Masashi Konyo, Kenjiro Tadakuma, Satoshi Tadokoro
    • 雑誌名

      IEEE Robotics and Automation Letters

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fire Extinguishment Using a 4 m Long Flying-Hose-Type Robot with Multiple Water-Jet Nozzles2020

    • 著者名/発表者名
      Hisato Ando, Yuichi Ambe, Tomoka Yamaguchi, Yu Yamauchi, Masashi Konyo, Kenjiro Tadakuma, Shigenao Maruyama and Satoshi Tadokoro
    • 雑誌名

      Advanced Robotics

      巻: 34 ページ: 700-714

    • DOI

      10.1080/01691864.2020.1769723

    • 査読あり
  • [学会発表] ImPACT Tough Robotics Challenge and Use in Disasters2021

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tadokoro
    • 学会等名
      Seminar Series by Hong Kong Centre for Logistics Robotics
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ImPACTタフ/ロボティクス/チャレンジの取り組み2021

    • 著者名/発表者名
      田所諭
    • 学会等名
      防災学術連携体講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] ImPACT Tough Robotics Challenge and Use in Disasters2020

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Tadokoro
    • 学会等名
      2020 IEEE International Symposium on Safety, Security and Rescue Robotics (SSRR2020)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 根本台車の遠隔操作を可能にした空飛ぶ消火ホースロボットの評価システムの開発2020

    • 著者名/発表者名
      前澤侑大,山内悠,他
    • 学会等名
      SI2020
  • [学会発表] 信頼性を向上させた水噴射により浮上する索状ロボットの開発2020

    • 著者名/発表者名
      山内悠,前澤侑大,他
    • 学会等名
      ROBOMEC2020

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公開日: 2021-12-27  

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