研究課題/領域番号 |
19H00751
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
福田 敏男 名城大学, 理工学部, 教授 (70156785)
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研究分担者 |
竹内 大 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20713374)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 筋組織 / マイクロロボット / アクチュエータ / フィードバック制御 / モジュール構造 |
研究実績の概要 |
本研究では、代表者らが有する微細加工及び細胞組織構築技術を用いて、マイクロセンサを有する筋組織アクチュエータモジュール(SMAモジュール)を作製し、モジュールを組み合わせることでフィードバックループを有する筋駆動マイクロロボットの実現を目指している。本年度はSMAモジュールの基盤技術となる、筋組織アクチュエータについて腱構造の検討、細胞と細胞外マトリックスとの配合について検討すると共に、昨年度作製した伸縮センサの筋組織アクチュエータへの取り付けについて研究を行った。 まず、筋組織アクチュエータモジュールについては、筋細胞の培養時において腱構造から外れてしまう、または筋組織自体が自身の収縮力によって断裂してしまうことを防ぐために、腱構造の形状及びサイズについて複数のデザインを検討すると共に、筋細胞と細胞外マトリックスとの配合比についても複数の条件で実験を行い、検討した。その結果、腱構造については細胞との接触面積を増やすことにより筋組織が外れることをある程度防止できること、また、細胞外マトリックスが多すぎる、または少なすぎると筋組織自体の断裂が発生しやすく、適切な配合比が存在することが示唆される結果を得ることができた。 伸縮センサについても、腱構造を再設計することで腱構造に設置可能とし、センサ出力は計装アンプを用いて増幅し、ローパスフィルタによるノイズ除去を行うことで筋組織アクチュエータモジュールが発生する筋力程度の力を計測可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋組織アクチュエータについては、細胞と細胞外マトリックスとの配合について検討し、筋組織の断裂及び腱構造からの離脱をある程度防ぐために適切な配合比が存在するとの結果を得ることができた。腱構造のデザインについても、筋組織との接触面積を増やすデザインに変更することで、培養時における筋組織が腱構造から外れてしまう問題に対する解決の糸口を見つけることができた。また、伸縮センサと筋組織アクチュエータモジュールとの統合についても、伸縮センサからの出力を安定的に得る基盤が完了し、作製した伸縮センサが筋組織アクチュエータモジュールの発生する筋力を計測可能な性能を有することを確認した。このように、来年度行う予定である筋組織アクチュエータモジュールの筋力をリアルタイムで計測しフィードバック制御を行うための基盤技術を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度確立した伸縮センサと筋組織アクチュエータモジュールとの統合を進め、電気刺激によって発生する筋組織アクチュエータモジュールの変位または力をリアルタイムに計測することを目指す。さらに、計測した変位または力を用いてフィードバック制御を行うことで、筋組織アクチュエータモジュールの精密な駆動制御の実現を目指す。従来の筋組織アクチューエータはほぼON/OFF制御で行われており、精密な駆動については課題として残っている。来年度は伸縮センサを用いたフィードバック制御に基づく筋組織アクチュエータの精密な駆動によってこの課題を解決し、マイクロロボットの制御への応用を目指す。
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