研究課題
本研究の最終年度として、目標である24GHz帯のGaN-HEMT増幅器の実証に向けた開発を進めた。まず開発した高周波GaN-HEMTの等価回路の高精度化を検討し、特に高周波領域での設計精度を高める新モデルの開発に成功した。この等価回路モデルに基づき、電極パターン設計を行い、数W級のGaN-HEMT増幅器試作用ホトマスクを準備した。また、デバイス基本構造の設計では、従来のショットキーゲートに加えて、利得改善に有効な絶縁ゲート構造GaN-HEMTの高周波評価とその等価回路解析を実施しマスク設計に反映した。さらに新規に評価を始めたミストCVD法Al2O3がしきい値変動や電流漏洩がなく、良好な電気特性が得られることを確認した。プロセス開発では、数W級の高出力化に必須のマルチセル構造を検討し、利得低下を防ぐための空中配線(エアブリッジ)プロセスを開発した。また、電子線露光を用いた0.2ミクロン級ゲートの低抵抗化を検討した。デバイス試作に用いるGaN基板については、研究分担者である山口大から新たな半絶縁性GaN基板の提供を受け、GaN基板の横方向破壊耐圧の評価を行い、1.5MV/cmを超える破壊電界と、2E+9 Ωcm以上の良好な抵抗率を確認した。以上の準備のもと、マルチセル構造の24GHz帯GaN-HEMT増幅器の試作プロセスを実施中である。ただ、電子線露光ゲート形成とエアブリッジ配線のプロセスにおいて、予期せぬ配線不良が生じ現在再試作中である。ただ個別プロセスの検討は順調に進んでおり、計画にやや遅れが生じたが、24GHz帯のGaN-HEMTの高出力特性の実証に向けた試作は順調に進んでいる。本検討を通して、準ミリ波帯(20-30GHz)で動作する出力10W級の高出力GaN-HEMT増幅器開発を成功させ、実用化の拡大が期待される無線電力伝送用の主力素子として新規分野の開拓に貢献したい。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件)
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