研究課題/領域番号 |
19H00777
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桑原 雅夫 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50183322)
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研究分担者 |
水谷 大二郎 東北大学, 工学研究科, 助教 (30813414)
熊谷 靖彦 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, NICHeシニアリサーチ・フェロー (10368855)
川崎 洋輔 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (90751793)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 維持管理 / 道路施設 / 社会損失 / 故障過程 |
研究実績の概要 |
2020年度は,前年度に提案した(1)施設の故障過程のプロトタイプモデル,(2)故障時の利用者損失評価方法,(3)管理者側の維持管理費用の算定をベースとして,故障過程モデル,利用者損失,管理者費用の評価を,実際の道路施設に適用して分析を行った. 具体的には,NEXCO西管内の高速道路を対象として,ETC施設および入口情報版の故障確率の算定と,故障時に利用者が被る損失,管理者側費用を定量的に評価した.ETC施設の故障分析では,まず維持管理データより料金所の閉鎖を伴う故障発生確率を算定した.次に,高速道路の交通需要と故障確率の両者を考慮して,利用者の時間損失を料金所閉鎖の発生時刻,閉鎖継続時間の関数として定量評価した. また,入口情報版についても維持管理データより故障確率を評価するとともに,入口情報版が故障した場合に,情報が得られない利用者が,適切な経路選択を行えないことにより被る損失を定量評価するとともに,故障に伴う管理者側の費用をヒアリングより把握した.これらを総合して,施設更新間隔と利用者損失+管理者費用の関係を明らかにし,更新費用別の最適な施設更新計画について検討を行った. さらに,次年度に続く研究として以下を開始した.ETC施設の故障過程の分析については,これまで摩耗劣化を原因とする故障について解析を実施してきたが,製造不良,施工不良,事故などの摩耗劣化以外を原因とする故障過程について分析を着手した.また,実務的なニーズが高い課題として,故障確率に基づく定期点検の最適化,交換部品の備蓄配備計画についても,予備的な検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,前年度に行った施設の故障過程分析,利用者損失分析,管理者側費用の検討に基づいて,実際の高速道路施設(ETC施設,入口情報版)にこれらを適用し,定量的な社会費用の算定を行うことができた. さらに,次年度に続く研究課題として,摩耗劣化以外の突発的な事象を原因とする故障過程の解析,および故障過程に基づく定期点検の最適化,交換部品の最適配置についても検討を開始している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,昨年度開始した以下の研究課題を継続・深化させる. (1)摩耗劣化以外を原因(製造不良,事故など)とする故障過程に関する分析:磨耗劣化とはかなり異なる生存確率となることを定量的に評価するとともに,生存確率と,気象,地域特性などの環境変数とのかかわりについて分析を行う. (2)故障過程に基づく定期点検の効率化:定期点検データでは,運用日時や故障日時が正確にわからないことが多く,このようなデータから生存確率を算定する方法を検討する.さらに,故障発生確率に基づいて,定期点検頻度の効率化について分析する. (3)故障時や定期点検時に必要な交換部品の配備計画:故障発生時などには交換用の部品が必要であるが,これらをどこに,どの程度の量を備蓄しておくべきかについて,数理的な分析を開始する.
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