本研究は、鉄筋コンクリート構造物の鋼材腐食の照査における「中性化が鋼材腐食の主要因である」という仮定の不合理性を立証し、新たな維持管理手法を提案しようとするものである。ここでは、実構造物を対象とした調査研究と共に、酸性雨等の実環境を模擬した室内実験を実施し、中性化深さの耐久性指標としての不合理性を科学的根拠に基づき立証することを目指すものである。 中性化を指標とする照査体系からのパラダイムシフトを行い、コンクリートの剥離・剥落事象発生の支配的要因が中性化深さではなく、雨水やかぶり厚さそのものであることを示す研究で、既存の常識に一石を投じるものである。常識を覆す可能性がある研究は学術的価値が高く、また実務上のインパクトも大きいものと期待される。
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