| 研究課題/領域番号 |
19H00798
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| 研究機関 | 早稲田大学 |
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研究代表者 |
長谷見 雄二 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (40298138)
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| 研究分担者 |
板垣 直行 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (00271891)
鍵屋 浩司 国立研究開発法人建築研究所, 防火研究グループ, 上席研究員 (90298191)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 大規模木造 / 火災 / 力学的性能 / 熱・水分移動 / 含水率 / 入射熱 |
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| 研究実績の概要 |
(1)耐熱型含水率計の改良・小型試験体による性能検証 耐熱型含水率計測システムを大型試験体の耐火加熱試験に利用できるように設計し、水平炉による梁の加熱試験に適用して、梁内部の温度上昇に伴う高温側からの水分移動による含水率の上昇、100℃付近での蒸発による含水率の急激な低下など、熱水分移動の理論から予想される特徴を再現できることを確認した。
(2)木材内部の相変化に伴う熱・水分移動モデルの検討 熱・水分移動方程式に既往研究に基づくパラメータ値を代入して温度・含水率測定実験の再現を試みたところ、木材の熱伝導率等が従来の知見よりも繊維方向との関係に強く依存する可能性が大きいことが判明した。また、高温での透気係数を実測したところ、慣用値と大きく異なる値となったが、シミュレーションではこの違いが、含水率が顕著に変化する加熱終了後には含水率に重大な影響を与えないことが判明した。
(3)実大梁の載荷加熱実験 スパン4m, 8mの二通り、木造梁の載荷加熱実験で含水率の動的測定も行ったところ、変形・炭化速度と表面入射熱・崩壊のスパン依存性の逆転や変形のスパン依存性が鋼材等と異なることが確認され、これらが加熱中の木材内部の水分移動に起因する可能性が示唆された。
(4)燃え止まり型木質耐火構造部材の火災加熱時の熱・水分予測法の検討 本測定法には含水率が低い部分と飽和した部分が測定可能範囲から外れる限界があるが、実験(1)から、常温で気乾状態にある燃え止まり型耐火構造梁については、加熱中及び加熱後の冷却過程の広い範囲で温度・含水率を測定可能であり、その範囲が理論モデルの検証に適していることを確認した。実験(3)のような結果は、スパンが水分移動に及ぼす影響に起因する可能性があるとの理論的予想を誘導した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響により、実験に大幅な遅れを生じたが、令和2年度に予定していた実験は当初計画より精緻な内容で実施できた。実験結果には当初予想と異なるものもあった。その原因を検討したところ、本研究で実用化に向けた改良を行っている耐熱型含水率計を大規模な耐火加熱試験に適用した場合に生じ得る偏差の拡大と思われるものと、耐火試験で従来、信じられていた仮定条件が木材については正しくなかったことを窺わせるものとがあった。火災加熱される木造部材中の水分移動については、本課題以前には実測例がなかったので、前者については耐熱型含水率計の汎用化にはまだ課題があり、直ちに誰にでも利用できるものにするのは困難であるとしても、解決すべき技術的課題の内容を把握できたこと、後者については、従来、原因不明とされていた木造部材の高温下での力学的挙動の特異性が含水率の把握により理解できるようになったことに本年度の研究成果の重要な意義があると考える。
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| 今後の研究の推進方策 |
本年度の重要な研究成果として、耐火加熱試験での木造部材の含水率測定が可能になったことにより、(1)高温下での熱・水分移動を表すパラメータが従来の一般的想定とは大きく異なる可能性があることが判明したこと、(2)従来、原因不明とされていた火災加熱下の木造部材の特異な力学的挙動の機構の解明の端緒が得られたことがあげられる。(1)の一部については本年度に小規模な実験で前進が図られたが、本課題最終年度である令和3年度には、大規模な試験体・装置を用いる実験は予定されていないが、更に、材料レベルの実験により、熱伝導率の異方性等、木材の熱・水分移動に関わる各種パラメータの基本的特徴の解明を進めたい。(2)については、本課題及び既往実験等を踏まえ、熱水分移動シミュレーションによるパラメータ同定を含めて、熱水分移動が木造部材の力学的性能に及ぼす影響の解明を進めたい。
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