研究課題/領域番号 |
19H00808
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
水野 眞治 東京工業大学, 工学院, 教授 (90174036)
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研究分担者 |
中田 和秀 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00312984)
北原 知就 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (10551260)
鮭川 矩義 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (20757710)
後藤 順哉 中央大学, 理工学部, 教授 (40334031)
高野 祐一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40602959)
高澤 陽太朗 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20871130)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会システム工学 / 経営工学 / オペレーションズリサーチ / 最適化 / 機械学習 / 社会実装 |
研究実績の概要 |
本年度は,以下の成果を得た。 (1)解の精度保証分析:NP-困難な組合せ最適化問題に対する近似精度保証付きアルゴリズムを開発した。水野らは単一機械スケジューリング問題に対するアルゴリズムの近似比を理論的に解析し、鮏川らは地図のラベル配置問題に対する近似比を改善した。中田らは看護師スケジューリング問題に対する近傍探索法と動的計画法を開発した。また小島らはより一般の問題に対する解の精度保証のための、非負半正定値錐や共正値錐に基づく緩和法の理論を確立した。
(2)最適化アルゴリズムの設計と理論的・実験的性能解析:最適化アルゴリズムの厳密化に関する成果を挙げた。水野らは効率的集合上の多目的最適化を、また、高野らは多対一のマッチング問題における多目的最適化をそれぞれ扱い、最適化ソルバーの活用による厳密解法を開発した。さらに高野は交差検証基準に基づく変数選択に対する厳密解法を開発した。
(3)機械学習ライブラリの本公開に向けた準備:機械学習のためのアルゴリズムの整備、ならびに、膨大なデータを用いた多角的な数値実験によるそれらの有効性の検証、さらに、対応するコードの公開に向けた準備を進めた。後藤らは分布的ロバスト最適化の研究を発展させ、データ駆動型キャリブレーションに対する理論を確立した。また、後藤らは微分不可能かつ非凸なスパース回帰における近接射影勾配法の有意性を明らかにした。高野らはスパースポアソン回帰におけるパラメータ推定を厳密化する方法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的1「パラメータ推定の質を担保した効率的な最適化技法の開発」に向けては、前年度に開発した最適化のアルゴリズムや理論を多角的に発展させることに成功しており、大きく前進したといえる。特に、アルゴリズムの適用範囲の拡大とアルゴリズムの多様化(厳密解法、近似精度保証付き解法、多目的最適化の解法)に成功した点が優れているといえる。また、本研究の目的2「入力情報と出力結果の関係を理解できる機械学習システムの開発」に向けても、同システムの実現に向けたモデルの提案およびその理論的性能評価に加え、膨大なデータを用いた多角的な数値実験を推し進められたことで、システム開発のための基盤を整備することができた。対応するコードも充足させた。さらに、これらの成果の多くは権威ある国際学術誌・会議で発表されている。さらに、国内外の学会で多数の発表を行ない、その成果を広く発信した。以上のことを考慮し、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した最適化技法と機械学習システムのためのアルゴリズム・モデルおよびそれらを実現するコードを整備し、また、実験データも公開し、機械学習ライブラリの本公開に向けた最終調整を行なう。このために、全員で協力して、開発したアルゴリズム・モデルをその応用場面や強み・弱みの観点から精査し、また、類型化する。北原・鮏川・高澤・水野・小島が最適化技法のアルゴリズムを、中田・後藤・高野が機械学習システムのモデルを、それぞれの主な分担とし、全体の取りまとめを水野が行なう。また、研究成果を報告するワークショップを開催し、同ライブラリの世の中への普及を図る。
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