研究課題/領域番号 |
19H00820
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉川 健 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90435933)
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研究分担者 |
柴田 千尋 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 講師 (00633299)
竹島 由里子 東京工科大学, メディア学部, 教授 (20313398)
川西 咲子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80726985)
三谷 武志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90586306)
三浦 均 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50507910)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高温溶液成長 / 界面その場観察 / ステップエネルギー / カイネティック係数 |
研究実績の概要 |
本研究では、特にSiCの高温溶液成長時の結晶成長界面のステップ構造の科学的な理解と制御を可能とすべく、溶液中の結晶のステップエネルギーとステップ成長のカイネティック係数の溶液組成依存性の調査を進めている。 2020年度は、高温界面の1nm級のステップの挙動の観測手法の確立を行うために、基本条件の確認のために、常温でのステップ構造の光学観察を再検証することを第一に行った。サブナノ~ナノステップの表面構造を有するSiC標準試料を準備した後に原子間力観察により検証した0.5nm高さのナノステップを確認し、同一視野を用いて光学観察を検証した。その結果、微分干渉顕微鏡では表面観察が可能であること、正立顕微鏡では観察が困難であることを確認した。5nmを超すステップの場合には、結晶の厚みや不純物濃度に由来する光学吸収特性にも依るものの、多くの場合問題なく観察できることを改めて確認した。一方で、観察用CCDカメラのRGB検出器の強度比を用いたステップの鮮明化の傾向の調査を開始したが、手動による強度比調整が困難であることが判明したことから、年度末より画像処理手法の検討を開始している。 また微小液膜を介してSiCのスパイラル成長を制御する成長条件を確立するため、試料の加熱手法の再検討を行い、CO2レーザーを用いた局所加熱により、所定の加熱条件が得られることを確認した。これにより、2021年度に加速的に成長その場観察を実施する条件を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1nm級の微小ステップのその場観察手法の開発に取り組んだが明確な改善が得られなかったっことから、AFMでステップ高さを確認可能な試料を準備し、光学観察の検証を行うことに時間を要した。概ね限界点を確認したことからそれを踏まえて、観察条件の最適化に鋭意取り組む。 加えて、その場観察実験にて合金組成をより融点の高い遷移金属富化組成へと進んだところ、薄液膜の安定形成に著しい困難が生じたことから、加熱系を改めて調整する必要が生じたことで、本実験における成長制御でも後れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度より、成長その場観察によるらせん丘形成に及ぼす組成の影響の調査を系統的に実施する。第一四半期に、昨年度より修正を進める加熱系の最適化を行い、第二四半期以降、継続してその場観察を実施する。 また、画像解析、動画処理については、連携研究者間でMATLABを利用したプログラム開発を協調して実施できる体制を構築したことから、ナノステップの新たな可視化と界面構造再構築手法を密な連携の下で速やかに確立する。
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