本研究は、ナノ構造化による熱電変換材料の性能向上に必要な、ナノ構造の大きさ、形状、配列と熱電変換性能の関係を研究する。ナノ粒子、ナノシートなどを規則的に集積したナノ空間材料を鋳型とし、鋳型内部で金属酸化物を析出することで、ナノ構造を制御した熱電材料を作製し、ナノ構造と熱電変換性能の関係を明らかにするとともに、精密ナノ構造制御により従来の熱電変換性能の限界の突破を目指す。 熱電変換材料は低炭素化に資する技術であり、その高性能化は社会的要求が高い。本研究は従来からトレードオフの関係にある、ゼーベック係数、熱伝導率、電気伝導率を、それぞれ独立して制御することを目指すものであり、成功した場合の学術的、技術的波及効果は大きい。ナノ構造と熱電性能の相関を材料合成技術の高度化で明らかにする本研究の取り組みは、材料合成プロセスにおける進歩が期待できる。
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