工業的に付加価値の高いナイロンは、宿主生物が有する代謝経路だけでは生産できない。外来の異種遺伝子を導入してもその働きが低いことから、微生物生産による難易度が特に高かった。本研究では、ゲノムスケールモデルやゲノム編集等を駆使して律速段階を明らかにし、その部分を効率化することによってナイロンの原料であるアジピン酸およびカプロラクタムを生産する細胞を創製する。 微生物を用いたバイオマスからの物質生産は、環境問題や石油資源枯渇問題を解決する重要な技術である。しかし、生物による物質生産には限界がある。その限界の理由を知り取り除くことは、学術だけでなく産業にとっても極めて重要である。
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