本研究提案は電極に接続された1分子の化学反応を網羅的に解析する手法を開発し、1分子化学反応の学理を構築することを目指す。具体的な研究課題として、(1)電流パルスのマルチフィジックスシミュレーションと機械学習を融合させた1電流パルス解析法と、1分子識別法を組み合わせた高精度1分子識別法の確立、(2)高精度1分子識別法と1分子衝突法を融合した1分子化学反応の網羅的解析法の開発、を設定する。 本研究で開発を目指す1分子化学反応の網羅的解析法により明らかとなる脱離反応、付加反応、置換反応において、量子化学計算との連携により、反応物から生成物が得られる1分子化学反応の解明が可能となる。その結果として、アボガドロ数の分子の統計平均的な化学反応を対象とするフラスコの化学と、1個の分子の確率的な化学反応を対象とする1分子化学との間をつなぐ新しい学術分野の構築が期待される。
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