がんは世界の死因のトップクラスである。これまでナノテクノロジーを駆使した様々ながん療法ならびに画像診断法が開発されてきた。しかし、従来のナノテクノロジーは、がんの早期発見を目指した高感度検出や抗がん剤の副作用低減を目的とした治療法の開発に主眼が置かれており、ナノ材料そのものが生体内でどのように振る舞い、いかに機能するのか、はたまた制御は可能か、といったリアルタイムで直接観察しながら性能評価・機能制御を行った研究は皆無である。従って、本研究では、研究代表者が独自開発した生体透過性の高い近赤外光によって機能発現する機能性ナノ粒子を駆使し、マウス生体内の腫瘍環境における当該ナノ粒子の直接観察ならびに機能制御技術を開発することを目的としている。本最終年度は、調製したナノ複合体を腫瘍モデルマウスの尾静脈に注射し、レーザー照射に伴う生体内でのがん細胞機能制御・排除効果を調査した。また、本ナノ複合体の生体適合性評価を実施した。
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