研究課題
分子ダイナミクスが共存する分子集合体の分子物性化学の概念を確立するため、プロトン・イオン・分子の運動とバルク分子強物性をつなぐ分子間相互作用を理解し、デバイス応用につなげる事を研究目的とした。分子強物性として、電場-分極ヒステリシス(P-E)に支配される強誘電体およびイオン変位-電流ヒステリシス(I-V)を示すメモリスタに着目した研究を実施した。それぞれの分子強物性に対して、外部刺激である電場や応力に対する出力である双極子反転・ドメイン運動・イオン分極を分子論的に理解し、その分子設計指針の確立を目指した研究を試みた。本年度は、電場-分極ヒステリシス(P-E)に支配される強誘電体に関する検討を中心として、よりシンプルな分子設計に着目した材料開発を試みた。ベンゼンの2鎖アルキルアミド置換誘導体として、パラ置換体とメタ置換体を合成し、その構造と物性の相関を検討した。パラ置換体に関しては、アルキルアミド鎖の長さを系統的に変化させ、電場-分極曲線および誘電率の温度-周波数依存性に現れる偶奇効果に関する系統的な評価を試みた。アルキル鎖長が偶数と奇数の誘導体では、誘電率の温度変化が明確に異なり、分子集合体中のダイナミクスに変化があることが明らかとなった。また、メタ誘導体に関しては、強誘電性の観測と同時に置換基の導入により、ガラス化が生じることが明らかとなった。温度変化に対してガラスから結晶への相転移が生じることに着目し、それを利用した相変化メモリへの応用を検討した、特に5位にハロゲンが導入されたベンゼン誘導体においては、ガラス状態が室温付近で安定に形成することから、部分的な局所加熱による結晶化を誘起し、光学特性が等方的から異方的になる変化を利用したガラス-結晶転移型のメモリを作成した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 9件、 招待講演 4件)
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