HOMOなどの最外殻電子のダイナミクスを可視化し、どのように変化するか捉えることは分子の反応や機能を理解する上で重要な課題である。ここでは、トンネルイオン化に注目し、トンネル電子の垂直方向運動量分布(TMD)が漸近領域での電子波動関数を反映することを利用して、その電子の運動量計測により3次元の電子分布の可視化に挑戦する。 従来、電子軌道における電子の運動量測定は(e,2e)法など電子散乱で行われているが、電子の空間電荷を避けて時間分解能を付与することが困難であった。TMD法は、超高速分光を用いつつ電子運動量を測定できる可能性がある。新しい計測法の開発により、これまで見えていなかった電子のふるまいを明らかにできることが期待できる。
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