研究課題
基盤研究(A)
光照射によるルイス酸・塩基間での一電子移動によるルイスラジカルイオン対発生の一般化と学理構築を行った。具体的には、分光学的手法と理論計算によりルイス酸と塩基からなる電荷移動錯体の励起とルイス酸自身の直接励起という2つの反応機構が存在することを実証し、この知見を合成化学的に有用な活性ラジカル中間体の発生方法へと応用、触媒的結合形成反応へと展開した。また、分子内ルイスペアの設計により新奇多機能光触媒を創出し、これを用いた新規反応の開発にも成功した。
有機合成化学
この研究成果は、これまで特殊な系に限られていたルイスペア間の一電子移動化学に対して、光照射という新たな切り口からその一般化に成功したものである。光照射が引き起こす現象の本質についても実験・理論の両面から明らかにし、ルイスラジカルイオン対の化学の基盤構築に貢献したと言える。この方法論は、活性ラジカル中間体の新たな発生法を提供したとも言え、近年精力的に研究されているラジカルを中間体とする合成化学にも大きく貢献し、将来的には希少金属を用いないグリーンな物質生産にも繋がると期待している。