研究課題
本年度は、昨年度までに得られた知見を発展させ、生体微小環境や疾患関連酵素反応に応答する長寿命核偏極分子プローブの拡張とin vivoでの実証実験を進めた。前年度までに、分子ダイナミクスを考慮に入れた計算化学を組み入れることで、回転相関時間を含む詳細な核スピン縦緩和要因解析が可能となった。構築した設計指針を拡張し、実際に、プローブ開発への応用を進めた。生体応用可能な核スピン偏極を持つ分子プローブをいくつか開発することに成功したが、生体関連ペプチドに応用した例を以下に記載する。まず、フレキシビリティーの高い末端を安定同位体標識したペプチドを合成し、十分な核スピン偏極時間(T1 > 20 s at 9.4 T)を持つことを実証した。また、核スピン偏極実験を行い動的核偏極プロセスによって核スピン計測感度が向上すること、その高感度化シグナルを溶液中において計測できることを確認した。さらに、開発したペプチド型分子プローブが標的酵素による代謝を受け、その追跡を化学シフト変化から行えることを確認した。最後に、in vivoにおいても高感度化したシグナルが追跡できることを確認した。本結果は、論理的分子設計により長寿命核偏極分子プローブ開発を可能にした点において意義が高い。加えて、偏極イメージング比較対照用コントロールとして、蛍光を用いた生体微小環境領域や疾患関連酵素計測系の構築も進め、3D蛍光イメージング用分子プローブの開発にも合わせて成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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ChemRxiv
巻: - ページ: -
10.26434/chemrxiv-2022-tfkk1
Science Advances
巻: 8 ページ: eabj2667
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RSC Advances
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10.1039/D1RA07343E