研究課題
目的1 自己集合性分子による細胞移植 がん細胞の転移能力を正常細胞に一時的に付与すれば移植効率の改善に利用できる。免疫抑制能力をアドヘサミン3.0で正常細胞への付与を試み、PD-L1とアドヘサミン3.0で表面修飾したNIH3T3細胞はJurkat細胞のIL-2産生量を抑制した。目的2 自己集合性分子による免疫賦活化 自己集合性ライブラリーをスクリーニングし貪食細胞や樹状細胞を活性化する化合物1を発見。この化合物は200nmの球状集合体になり自然免疫を賦活する。化合物1の誘導体合成から強力な化合物3を発見した。目的3 自己集合性分子によるタンパク質機能変調 2019年度は自己集合性化合物ライブラリーを使って、特定のタンパク質に結合する自己集合化合物の探索を行った。細胞抽出液をそれぞれの化合物水溶液と混合し、自己集合性化合物と共沈するタンパク質を電気泳動で解析した。その結果、TD4F7と名付けた化合物がチューブリンと選択的に結合することを見出した。電子顕微鏡解析(TEM)を行ったところ、TD4F7は約100 nmの球形の自己集合体を形成することが分かった。DLS解析でも100 nmの集合体が観察された。TD4F7は細胞内で自己集合体をつくり、チューブリンを凝集させると推測できる。目的4 自己集合性分子による内因性化合物の機能変調 糖尿病患者の血中にグルコースは約20 mM 存在する。2019年度に、自己集合性化合物ライブラリーにグルコース 20 mM を添加し、384穴プレート対応動的光散乱法粒子径測定装置(DLS)でスクリーニングした。その結果、グルコースと選択的に自己集合する化合物を発見した。ガラクトースなどの他の糖では集合体を形成しない。
2: おおむね順調に進展している
目的1-4の研究は当初の計画通り進展している。来年度目的5に進む準備も整った。
目的1 自己集合性分子による細胞移植 2020年度はVEGFや ANG-2で表面修飾し、血管新生能を活性化する。複数混合のHalo-tag融合タンパク質を組み合わせたラット心筋細胞への移植で、免疫回避能や血管新生評価、グラフト心筋の生着を検討する。目的2 自己集合性分子による免疫賦活化 2020年度は、化合物3の分子生物学的なメカニズム解析を行う。電子顕微鏡、X線小角散乱、X線結晶解析、分子動力学計算で構造解析を行い、その集合体の構造が明らかにする。さらに、化合物3が動物でインフルエンザワクチンの効果を高め、インフルエンザ感染後の致死率を改善させる実験を行う。2020年度中の発表を計画している。目的3 自己集合性分子によるタンパク質機能変調 2020年度はTD4F7が中心体を模倣していることを示す。細胞分裂への影響などの細胞生物学的・分子生物学的な実験、チューブリンとの結合や自己集合化をNMRなどの物理化学的・生化学的手法で解析する。また、有機合成展開を行い、構造活性相関の情報を得る。目的4 自己集合性分子による内因性化合物の機能変調 2020年度は、詳細な分析を行う。電子顕微鏡、X線小角散乱、X線結晶解析などの方法でグルコースと自己集合性化合物との相互作用を解析する。その情報に基づいて、合成展開によって最適化する。目的5 生理活性自己集合性分子の人工知能予測 2019年度に得られた化合物群の実験結果をトレーニングセットとしてマシンラーニングを開始する。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 12件、 招待講演 13件) 備考 (5件)
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