脱窒菌の一酸化窒素還元酵素(NOR)は、鉄を活性中心に含む膜結合酵素であり、脱窒過程で中間生成物として現れる細胞毒性の高い一酸化窒素(NO)を速やかに消去している。本研究では、NORを研究対象とし、時間分解赤外分光とSACLAを活用した時間分解X線結晶構造解析を併用した測定により、短寿命反応中間体の電子状態などを決定する。 一酸化窒素還元酵素が実際に機能している際の構造を明らかにすることで、NOR反応の分子機構を動的な構造を基盤に解明するとともに、細胞内でNOを拡散させずに速やかに2つの酵素間で受け渡す構造ダイナミクスを明らかにする。電子伝達系の進化を考える上でも貴重な知見が提供されると期待される。
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