研究課題
NC273の作用点について:NC273処理による既知サイトカイニンよりも強いグリーンカルス誘導作用の作用点の情報を得るため、サイトカイニン受容体の変異株を用いてグリーンカルス誘導実験を行った。その結果、ahk2ahk3の二重変異体では野生型に比べ大きな違いは見られなかったものの、ahk4変異体ではグリーンカルス誘導が著しく阻害された。このことからNC273はAHK4を介した情報伝達経路に作用していることが示唆された。また、NC273処理によるトランスクリプトーム解析を行ったところ、その変動パターンからNC273は植物体に少なくともサイトカイニン作用を及ぼしていること、細胞壁生合成や細胞分裂関連遺伝子の発現レベルを上昇させることなどが明らかになった。構造未同定の新奇NC化合物の構造同定:これまで最終産物と考えてきたNC289Rに、さらにFAS1が多段階作用することにより追加修飾が行われていることが強く示唆されたことから、この物質(NC303)の大量精製と構造決定を試みた。精製組換え酵素を用いた試験管内での大量調製を試みたが、反応のスケールアップ効率が上がらずNMR解析に十分な量を確保することはできなかった。一方で、Orbitrapを用いた精密質量分析によりNC303の組成式を予測することができた。NC303の大量調製については、Rhodococcus erythropolisを宿主とし外来遺伝子のタンパク質高発現用として開発されたプラスミドベクターに一連のFAS遺伝子クラスターを導入し、合成液体培地での培養でNC303を含むNC化合物群を検出した。合成量を定量しNMR解析に必要な培養スケールを見積ったところ、5リットル程度の培養で必要量が得られることが明らかになった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~ck/