植物は細胞の片側の細胞膜に輸送体を配置し方向性のある輸送を行う。本研究は、輸送体が根の各細胞で土壌や中心柱に面した側の細胞膜に偏在する機構を理解するために、対照的な偏在性を示すホウ酸輸送体をモデルに、細胞内小胞輸送の方向決定メカニズムの解明と、多様な膜タンパク質の偏在性の制御技術を開発し、根の表皮細胞の土壌に面した側の細胞膜にヒ素 (亜ヒ酸) 排出型輸送体を配置し、有害元素低減植物を作出する。 植物栄養素輸送体の偏在についての研究で、学術的、農業生産的に波及効果の大きな課題である。輸送体の配向性を制御することにより、高等植物に新たな有害元素の排除機能を付与するための取り組みで、新たな研究の方向性を提案しており、その成果が大きく期待される。特にヒ素を対象として研究に取り組むことを明言しており、今後国内で求められている食品中のヒ素濃度の低減への貢献も期待できる。
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