褐藻類は韓国や日本において一般的な食用海藻として親しまれる。褐藻類に含まれる硫酸化多糖類であるフコイダンは、抗肥満作用や抗腫瘍作用などさまざまな生理活性を示すことが報告されている。しかしながら、フコイダンはヘテロ多糖であることから、単糖の組成や配列が機能性に大きく影響し、適用時の効果に対して定量的な制御が困難である。そこで既往研究において、化学的に安定であり、用量管理が容易な単糖に注目し、フコイダンを構成する単糖DeOGalが、肥満マウスにおいて体重および肝脂肪量増加を効果的に抑制することを既に報告した。DeOGalは前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を用量依存的に抑制した。解糖系の律速酵素であるHkやPfk、脂肪酸合成酵素であるFasnやAcacaの発現に減少が認められた。また、Cpt1やPpargc1aなど脂肪酸酸化およびミトコンドリア生合成を促進する遺伝子発現が上昇した。AMP-activated kinase (AMPK)およびその基質であるacetyl-CoA carboxylase (ACC)のリン酸化が亢進したことから、脂肪酸酸化の促進、および脂肪酸合成の抑制が示唆された。C57BL/6JJc1マウスに高脂肪食(HFD区)を8週間自由摂取させ、150 mg/kg体重にてDeOGalを毎日経口投与した。 7週目にCTスキャンによって内臓脂肪重量および肝脂肪率を測定し、経口糖負荷試験を実施した。8週目に肝臓、eWATおよびiWAT重量を測定し、eWATにおけるタンパク質動態についてウェスタンブロッティングを用いて調べた。その結果、体重、内臓脂肪重量および肝脂肪率ともに、HFD区に対してDeOGal区は有意に低値を示した。本研究により、DeOGalは脂肪細胞において糖・脂質代謝のマスターレギュレーターであるAMPK pathwayを活性化することにより、脂肪蓄積を抑制することが推察された。
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