研究課題
Plutinum TALENを用いてアルギニン・バソトシン受容体(AVTR-V1a2)遺伝子をノックアウト(KO)したマサバのF3世代およびF4世代を用いて、他個体への攻撃行動と成長に関する形質を評価した。稚魚の攻撃行動は、以下の方法で評価した。①5Lの小型水槽に収容した稚魚15尾の遊泳行動をビデオ撮影した。②撮影開始30分以降の動画データに含まれる共喰いを含む攻撃行動を、独自に開発した行動解析ソフトで定量化した。③撮影開始前と終了時の水槽内の溶存酸素量(DO)を測定した。一方、F4世代のKO群と野生型(WT)群の受精卵(約7000個)を200L水槽に収容し、同一条件で飼育した孵化後30日までの生残率と10日ごとの体長・体重を測定した。また、両群から孵化後10、20、30、45、60日の稚魚を採集し、avtr v1a2の発現量をqPCRで解析した。さらに、KO群(F4世代)とWT群の未成魚(体長約17cm)を1t水槽において同一給餌条件で飼育し、翌日の排泄物重量と飼育開始5週間後の体長・体重を測定した。KO群の攻撃行動の回数はWT群のそれと比べて、F3世代で46%(p<0.05)、F4世代では28%低下(p>0.05)した。また、KO群はWT群と比較して低いDO減少率を示した(p<0.001)。一方、孵化後30日までの体長・体重および生残率は両群で差が認められなかった。avtr v1a2発現量は、孵化後45、60日のKO群でWT群と比較して低かった(p<0.05)。さらに、未成魚の飼育試験では、KO群の排泄物重量がWT群に比べて26%低下した(p>0.05)。一方で、体重は11%増加(p<0.05)していた。以上の結果より、AVTR-V1a2遺伝子KOマサバの稚魚では、他個体への攻撃行動および酸素消費量の低下が認められ、未成魚期では優れた成長を示すことが示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
九州大学農学研究院に、2020年に設置された研究センターで、5つの研究ユニットから構成されている。基礎研究・技術開発から社会実装・流通までを包括した、新しい魚類養殖産業を創出し、地域および我が国の養殖産業の振興ならびにタンパク質供給の安全保障に貢献することを目的としている。
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Scientific Reports
巻: 13 ページ: No. 3190
10.1038/s41598-023-30259-x
https://www.agr.kyushu-u.ac.jp/abric/