研究課題
(1)山間部豪雨の実態と生成機構:全国山間部(標高400 m以上)の1980年から2019年までの6月から10月までの時間雨量30 mm以上の発生頻度は,過去20年間に比べて最近20年間に7割の地域で増加し,北部および内陸部で増加率が高かった.富士山周辺の豪雨は台風性が主であるが,前線性.局地性豪雨が増加傾向にあった.森林由来有機エアロゾル解明として,阿蘇の草原地帯,富士山頂で雲水,雨水,エアロゾルを捕集して IEPOX-OSsの分析に成功した.異性体の割合,イソプレン発生量との関連,季節変動のデータをまとめた。(2)山間部森林生態系への影響と越境汚染の影響評価:新たに宮崎大学田野、北海道大学天塩研究林、秋田県森吉山麓高原、静岡県富士山南麓2合目,山梨県富士吉田市カラマツ成熟林で雨水・霧水の採取を開始し、国内山間地の霧沈着ネットワークを構築した。富士山南東麓で夏季にドローン鉛直大気観測を行い,BVOCsの実態解明を行った.新潟県・加治川では,Pb同位体比やEFの低下など越境大気汚染低下を示唆する兆候は微量金属にもあった.窒素沈着量は低下が見られるものの比較的高いレベルにあった.(3)山間部森林生態系の健全性評価:前年度の実験で得られた塩基配列データの解析を行った。霧暴露無しと中性霧暴露間で46の遺伝子、霧暴露無しと酸性霧暴露間で128の遺伝子の発現が大きく変動しており,オゾンと酸性霧が植物に与える影響に共通性が認められた.豪雨による増水時に大気流入する硫酸塩の保持は比較的速やかであり,流出する成分の多くは地下水・土壌水由来と考えられた.硝酸イオンの三酸素同位体比解析から、増水時に河畔域の地下水・土壌水由来の硝酸イオンが主に流出すると考えられた。極東ロシアの河川では酸性化が明らかであり、暖候期の降水寄与率の上昇による沈着量の増大と物質流出の寄与が考えられた.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Earth and Space Chemistry
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