研究課題/領域番号 |
19H00956
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
外丸 裕司 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (10416042)
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研究分担者 |
三木 健 龍谷大学, 理工学部, 教授 (00815508)
山口 晴生 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (10432816)
本郷 悠貴 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 研究員 (20737316)
羽野 健志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (30621057)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 珪藻 / ウイルス / 増殖速度 |
研究実績の概要 |
本課題の実施にあたり、課題メンバー全員で研究デザインを検討するためのスタートアップ会議を瀬戸内海区水産研究所にて実施した。以下の3課題について重点的に実験を行う上での問題点等を洗い出し、合理的な実験体勢の構築について検討を行った。課題1)現場環境を模した珪藻の無菌連続(半連続)培養系の構築,課題2)珪藻のウイルス感染回避戦略の解明,課題3)珪藻が発現する有機物分解酵素の解明。それらの議論を基に、今年度は①珪藻の一日あたりの分裂回数が1,3,5回におけるDNAウイルス感染の影響の解析,②メタボローム解析に基づくDNAウイルス存在下における珪藻の生理状態の評価,③自動半連続培養系の構築,ならびに④珪藻(Chaetoceros tenuissimus)ゲノムの整理に着手した。その結果、それぞれの課題について次のような進捗が得られた。①珪藻の増殖速度が早くなるほどウイルス感染による珪藻の死亡率は低下する事が確認された。また各増殖速度で半連続培養中の珪藻はウイルス感染後一時的に減少するものの、最終的にはある一定の細胞密度でウイルスと共存する現象が観察された。②ウイルス存在下でも増殖を維持している珪藻個体群が含有する生理活性物質のバランスはは、ウイルスフリーで増殖している珪藻のそれと異なることがメタボローム解析によって明らかになった。③自動連続培養系を設計した。一日一回の培地交換をともなう半連続式では,無菌状態を維持することが困難なため,連続式の系が適当とみなされた。実際にフラスコを使って稼働させたところ,通常のチューブポンピングでは交換率を厳密に維持できない=増殖速度をコントロールできない事態に陥ったが,ペリスタ式ポンプを導入することで回避できる見込みがついた。④C. tenuissimusがリン欠乏時に特異的に発現する基質分解系の遺伝子について絞り込みを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の実施予定であった課題については、実績報告の通りいずれも進捗が得られた。このことから本研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度の半連続培養実験で得られた一次データについて、様々な面から再解析を行う予定である。例えば、ウイルスと共存状態にある珪藻の形態や光学的特徴の抽出、そしてメタボローム解析の結果得られた生理活性物質の特定作業を進める予定である。また構築中の連続培養装置やゲノム解析についても順次作業を高度化していく予定である。
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