研究課題/領域番号 |
19H00958
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 拓 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40237730)
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研究分担者 |
酒井 一人 琉球大学, 農学部, 教授 (10253949)
大澤 和敏 宇都宮大学, 農学部, 教授 (30376941)
林 直樹 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50446267)
吉野 邦彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60182804)
加藤 千尋 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (60728616)
吉田 修一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90355595)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水食 / 気候変動 / GIS / WEPP / GeoWEPP |
研究実績の概要 |
水食予測のために,対象スケール・問題に応じてWEPP,GeoWEPPを使い分けるが,この時,降雨,土壌に関するモデルパラメータの日本への適応について,従来十分に考慮されていなかった.2020年度は,気象データについて農研機構の提供する 農環研シナリオ2017を用いて,現在および将来気象の統計値を整理し,WEPP,GeoWEPPに利用可能な気象データセットを構築した.また,短時間降雨特性について検討を行い,地域によって降雨特性が短時間高強度化する場合としない場合があることを明らかにした.土壌パラメータについては,室内人工降雨実験のデータから土壌パラメータを推定した.一方,既存の降雨流出データが得られる場合について,このデータから,対象値の土壌パラメータを推定する手法も構築し,要素試験で得たパラメータを用いるシミュレーション方法の構築ならびに,降雨流出データを用いたシミュレーション構築の二方法について,おおよその手法を整理した.また,特定地域の降水ならびに土砂流出データの収集を続けると共に,特に侵食による放射性物質の再分布が懸念される福島県について,シミュレーションに不可欠な地形データの整備をおこなった. 将来予測に関して,複数回のシミュレーションを行い統計的な議論をすることで予測結果の信頼性を高める必要があるが,WEPP, GeoWEPPといった大規模なモデルでは,これを自動化できないという問題があった.これについて,GEM-SAソフトウェアを用いるエミュレータを試作した. また,地球惑星科学連合大会において,「H-CG29 原子力災害被災地の地域復興における科学者の役割」というセッションを主催し,農業農村工学会大会において,企画セッション「気候変動下の農地土壌保全を考える」を行い,イベントベースの水食予測の重要性について発信を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で,現地調査や現場測定,室内実験実施に制限が生じ,予定したデータの収集が遅延した.また,雇用した研究員(外国人)が一時帰国している間に,COVID-19を原因とする入構制限が発生し,やはり,予定した業務が遅滞した.これらを補うために,2021年度は,比較的単純な作業を多くこなすための研究補助者としての雇用を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
降雨,土壌に関するパラメータの改善,モデル化はWEPP・GeoWEPPの日本へのローカライゼーションの肝要な部分であるため,2年目以降も注力して進めていく.そのために必要な既存データの収集が想定よりも遅れているため,今年度はこの部分に留意して,基本的なデータの収集や整理に注力しながら研究を進める.また,既存データのみならず,必要な地域・土壌について新規でデータの収集を行うが,この時,降雨流出,土砂流亡に深く関わる土壌炭素含量にも留意することを考えている. 日本独特の土地利用である水田に関連して,水田の法面,畦畔についての実態把握の研究は開始できたが,水田のモデル化については,まだ不足している部分があるため,2021年についても精力的に取り組む. COVID-19のため,現地調査や実験の実施に支障が生じることが予想されるため,随時,対応を講じることとする.
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備考 |
(1)はアメリカ土壌科学会からの依頼で作成
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