研究課題/領域番号 |
19H00965
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北澤 春樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (10204885)
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研究分担者 |
大坪 和香子 東北大学, 農学研究科, 助教 (00598203)
野地 智法 東北大学, 農学研究科, 教授 (10708001)
宗田 吉広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (20391451)
宮崎 綾子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (30355169)
麻生 久 東北大学, 農学研究科, 教授 (50241625)
上西 博英 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長 (80391556)
須田 義人 宮城大学, 食産業学群, 教授 (90404847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イムノバイオティクス / 抗病性育種 / 健全畜産 / ブタ / 抗菌因子 |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の成果が得られた。 【課題1】子豚のPGRP2・3・4において、プロモータ及びコード領域でSNPを検出した。それらからハプロタイプの再構成を試み、PGRP2で3種、PGRP3及びPGRP4でそれぞれ7種を検出した。PGRPの遺伝型と発現の関連性を検討したところ、PGRP4の特定のハプロタイプを持つ個体について、消化器系各臓器において処置内容に関わらずPGRP4が高発現する傾向が確認された。【課題2】我々が保有するブタ由来乳酸桿菌ライブラリーより、昨年度までに評価をした菌種に加え、新たな菌種についても、ブタ小腸上皮細胞を用いてPGRPの遺伝子発現を増強するイムノバイオティクス候補菌株の評価を行った。昨年までと同様に、発現調節能は菌株特異的であり、内在性抗菌因子の強化に有用なイムノバイオティクス候補菌株の存在が再認識でき、その探索を進めることができた。【課題3】イムノバイオティクス候補菌株を7日間連続経口投与した子宮切断術作出初乳未接種(HPCD)子豚に豚ロタウイルスを経口投与した結果、ウイルス接種後3日目及び5日目の糞便中ウイルス排泄量が菌株によって対照のPBS投与群よりも有意に低かった。また、HPCD子豚末梢血中貪食細胞の化学蛍光(CL)活性は菌株投与後、FFIG67株においてはウイルス接種日あるいは接種後7日目にかけてPBS群と比較して顕著な増加が確認された。【課題4】イムノバイオティクス候補菌株を抗菌剤無添加飼料給与LWD交雑豚に投与したところ、対照区に比べ下痢の頻度が抑えられ、毒素原性大腸菌の感染は有意に低かった。さらに豚肉における総不飽和脂肪酸組成割合が有意に高くなり、枝肉格付け評価も高まった。以上のことから、イムノバイオティクス候補菌株の投与は、健康性を保ちながら産肉性の向上に寄与することが期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
内在性抗菌因子の増強に有用なイムノバイオティクス候補菌株について、菌種を拡大した評価・選抜を推進することができ、多型との関連について解析を進めながら、無菌ブタおよび一般豚における投与試験の開始に至り、論文公表を進めると共に抗菌剤に依存しない新たな健全育成技術基盤の創出に向けた取り組みを着実に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ブタ小腸由来細胞を用いたインビトロにおけるイムノバイオティクス候補菌株の内在性抗菌因子の増強に関わる機構解明をさらに進めながら、多型との相関を含めたインビボ検証試験を進め、遺伝育種学的手法とイムノバイオティクスの発展的融合による家畜健全育成技術基盤の確立を目指す。
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