研究課題/領域番号 |
19H00967
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武内 ゆかり 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10240730)
|
研究分担者 |
大蔵 聡 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20263163)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | フェロモン / 生体分子 / 牛 / 獣医学 / 繁殖学 |
研究実績の概要 |
本年度は実施計画に基づいて研究を実施し,以下の成果を得た。 ① バイオアッセイ系の確立 ★鋤鼻器スライス標本による受容体の特定:現在報告されている牛の鋤鼻1型受容体(V1R)43種のうち,偽遺伝子化していないと推定された25遺伝子についてプローブを作製し,雄効果フェロモンを含有すると考えられる雄牛被毛を呈示した雌牛の鋤鼻器の凍結切片でin situ hybridizationとS6リボソームタンパク質のリン酸化を標的とした免疫染色を行ったところ,6種のV1Rプローブにて二重陽性細胞が観察された。pS6陽性細胞数に対するV1RとpS6の二重陽性細胞数の割合は,合計52.6%であった。★受容体強制発現系を用いたin vitroバイオアッセイ:HEK293細胞や牛鋤鼻器由来細胞株にウシV1Rの導入を試みたところ,前者では16種,後者では8種のV1Rが発現し,細胞膜に移行することが確認された。★黄体形成ホルモン(LH)パルスを指標としたin vivoバイオアッセイ:本年度も卵巣除去雌牛を確保できなかったため,発情周期を同期化して,条件検討を継続した。本年度は,黄体期の雌牛(7頭)に,空袋を呈示する“対照区”,袋に去勢雄牛被毛を入れて呈示する“去勢雄牛被毛区”,雄牛被毛を入れて呈示する“雄牛被毛区”,後述する候補リガンドカクテルを呈示する“カクテル区”を設定し,10分ごとの採血をそれぞれ12時間に渡って実施した。その結果,“雄牛被毛区”と“カクテル区”では,提示前に比較して呈示後のLHパルス頻度が高まる傾向のあることが明らかとなった。 ② リガンド分子同定 昨年度より継続して雄牛被毛と去勢雄牛被毛についてGC/MSで分析・比較したところ,量の異なる物質が存在することが判明し,一部(29成分)をフェロモン候補リガンドとしてリストアップし,合成物質を入手して候補リガンドカクテルを作製した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は,新型コロナウィルス感染拡大の影響が多少あったものの研究自体を停止させる必要はなかったため,課題については概ね計画通りに進展させることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究より,フェロモンのin vitroバイオアッセイ系が確立されつつあるため,今年度は,これを使ってフェロモンリガンド候補分子の絞り込みを行いつつ,有効成分のみの同定を目指す予定である。
|