研究課題/領域番号 |
19H00969
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 あかね 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80418673)
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研究分担者 |
水谷 哲也 東京農工大学, 農学部, 教授 (70281681)
折戸 謙介 麻布大学, 獣医学部, 教授 (70333143)
唐澤 薫 東京農工大学, その他の研究科, 研究員 (80755249)
加藤 雪彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90246231)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 皮膚 / 毛包 / 免疫 / 動物 |
研究実績の概要 |
1)病勢による皮膚毛包および周囲微小環境の細胞組織学的解析を行う疾患モデル動物として、アトピー性皮膚炎自然発症モデルであるNC/Tndマウス、あるいはSPF環境で飼育し皮膚炎を発症していないNC/Tndマウスに家ダニ抗原(ビオスタADクリーム)を塗布して皮膚炎を誘導マウスを用た。これらのマウスモデルについて、皮膚炎を発症する前から、経時的に頭頸部(好発部位)と他の部位の皮膚を採取して組織病理学的解析を行うために作成してきた標本を用いて、特殊染色法や免疫阻止学的染色法を用いて、毛包周囲の免疫担当細胞の分布や増減を確認した。毛包あるいはその周囲には様々な免疫担当細胞やその前駆細胞が存在し、発症前に比べ皮膚炎の発症とともに増加した。 2)アトピー性皮膚炎自然発症NC/Tndマウスおよび皮膚炎を発症しない対照マウスから皮膚や毛包を採取し、マイクロバイオームの次世代シークエンシング解析を進めている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、解析に開始が遅くれたが、2021年に入り解析を進めることが可能となった。研究分担社の協力を得て、解析を加速している。 3)皮膚表面から真皮にいたる病原性物質の侵入に関して、特にアトピー性皮膚炎の病態形成に深く関与する黄色ブドウ球菌由来因子に関する検討を実施した。まず菌体由来成分を暴露することで、ケラチノサイトのIL-33産生が亢進し、これが初期の免疫応答に関与することを見出した。黄色ブドウ球菌由来の成分を様々な分画に分けて作用を検討したところ、IL-33産生誘導の中心的役割を果たすのは、immunoglobulin-binding proteinであることを突き止めた。黄色ブドウ球菌由来の成分は、皮膚の細胞間結合の隙間や毛包から深く入り込んで、表皮の深部あるいは真皮に免疫応答を惹起することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従い実験を実施できた。マイクロバイオーム解析については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け解析が遅れたため、現在進行形であるがサンプル採取を終えて解析に取り掛かっている状況である。また、マウスや人を用いた研究は順調に進捗し、新たな知見を国際的学術雑誌に報告することができた。現在投稿中の論文もあり、概ね順調に進められていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響はまだ続くと考えられるが、蓄積したサンプルのマイクロバイオーム解析がよくやく進み始めており、これをさらに進める。また2020年度より東京医科大学医学部皮膚科の加藤氏を中心にマウスと人とのトランスレーション研究を進める予定である。さらに、JRAの協力得てウマのサンプルも収取ができ始めているので、馬における解析も引き続き進めていく予定である。
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