今後の研究の推進方策 |
トキソプラズマに対する生体防御反応の研究は主として、マウスとヒト細胞を用いて行われており、IFN誘導性GTPase、iNOS、IDO、PVM1などマウスやヒトで抗トキソプラズマ応答に重要であるIFN誘導性分子群が実際に豚においても同様に機能しているかは不明である。これまでに申請者は豚にIFN誘導性GTPase, iNOS, IDO1, PVM1が存在することを見出しているが、豚の抗トキソプラズマ生体防御反応を試験する実験系を整える。豚(マイクロブタ)の耳片をコラゲナーゼ・トリプシン処理し、豚の耳片由来の線維芽細胞 (porcine ear fibroblast = PEF)を作製する。また豚の脾臓を採取し、赤血球を取り除き、単細胞化する。その後、豚CD11bを認識する抗体(Abcam社)を用いてフローサイトメトリーによってCD11b陽性細胞を選別し、豚脾臓由来マクロファージ(porcine spleen-derived macrophage = PSDM)とする。初代培養のPEF及びPSDMの反応性を試験するためにリポ多糖(LPS)で刺激し、豚のIL-6 をELISAで測定する(Abcam社)。またPEF及びPSDMに豚IFN-γを作用させ、原虫数の低下が起きるかを試験する。IFN誘導性GTPase, iNOS, IDO, PVM1のmRNA発現を定量的RT-PCR法(qRT-PCR)及びウェスタンブロット法で検討する(豚とマウスでIFN誘導性GTPase, iNOS, IDOは配列がほぼ同じであることから抗体は使用できるが、PVM1については今後抗体を作製する)。ゲノム編集法で各分子の遺伝子欠損PEF及びRNAi法による遺伝子発現抑制PSDMを作製し、IFN依存的に原虫数が減少するかを検討する。
|